犬の多頭飼育のメリット・デメリット

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仲間を欲しがっているとは限らない

うちの犬はひとりぼっちでつまらなそう、いっしょに遊ぶ仲間がいると楽しく暮らせるかも・・・。

 

 

犬と暮らしている人は、誰でも一度はそう思ったことがあるでしょう。この考えは間違っていません。犬は社会性が高い動物なので、仲間と交流することは社会的欲求のひとつとしてとても重要だからです。犬は同種の犬はもちろんのこと、異種の人間や、人間と暮らしている猫などの動物とも仲間になることができるという、すばらしい能力を持っています。

 

 

だったら、仲間がたくさんいたほうがいいし、それが犬だったらなおのこといいだろうと思う人も多いでしょう。ですが、多頭飼育には気をつけるべきポイントがいくつかあります。それを考えてみましょう。

 

 

まず、もっとも大切にしなければいけないのは、先住犬の意思であるということをよく覚えておきましょう。ひとりぼっちでつまらなそうと思っているのは飼い主だけで、犬はひとりのほうがいいと思っているかもしれません。

 

 

散歩のときに他の犬に吠えかかるとか、突進するなどという場合は、他の犬と交流するときのマナーを学んでいない、言い換えれば社会化不足ですから、他の犬といっしょに暮らす準備ができていないということです。そういう状態でいきなり他の犬を迎え入れても仲良くはできません。社会化期を過ぎてしまった犬が、改めて犬との付き合い方を学ぶには、飼い主の長期にわたる忍耐強いサポートが必要です。

 

 

では、よく社会化された犬の行動とはどのようなものでしょうか。他の犬に会ったときに、尻尾をゆっくり振りながら、ゆったりした速度で近づいて、顔を背けたりお辞儀をしたりといったカーミングシグナル(犬のボディランゲージ)を出しながら、静かににおいの交換をして、短時間で立ち去るという行動ができれば、犬との付き合い方を理解しているということです。その場合は他の犬を受け入れることができます。

 

 

相性に注意

ですが、気をつけなければいけないのは、犬にも人間と同じように相性があるということです。おとなしい先住犬のところに、元気いっぱいな新入りが来たら、先住犬は疲れてしまいますし、その逆もあります。年齢差もまた重要です。年齢が近すぎると喧嘩しやすくなります。同性同士では3歳以上、異性同士では2歳以上離れていたほうがうまくいきやすい傾向があります。後から迎えるのが子犬だったら大丈夫かというと、そうとも言えません。子犬は活発なので、先住犬がうっとうしがることがあります。

 

 

それ以外にも、はっきりした理由はなくて、なんとなく好きとか、なんとなく嫌いというのもありますから、家に迎える前に何度も会わせてみて、お互いに友好的な関係が築けそうだと確信してから迎えるようにしましょう。

 

 

いっしょに暮らせば何とかなるというのは、あまりに楽観的な考えです。もし仲良くならなかった場合、嫌いな相手と一生いっしょに暮らさなければならなくなるので、お互いに多大なストレスがかかります。飼い主が気に入った犬を迎えるのではなく、先住犬の気持ちを第一に考えてあげることが大切です。

 

 

十分に落ち着いている?

社会化や相性の問題以外に、他の犬を受け入れられるかどうかには、先住犬の気持ちのゆとりも関係します。先住犬のストレスレベルが高くてイライラしていると、新しい仲間を受け入れるのが難しくなります。

 

 

後から迎えた犬は、環境が変わるので少なからずストレスを受けていますから、先住犬が十分に落ち着いていないと、けんかが頻発することになります。先住犬にストレス行動(よく吠える、興奮しやすい、散歩のときにリードを引っ張る、他の犬に攻撃的な態度を取るなど)がある場合は、後から来た犬にもその行動が伝染します。

 

 

そうなると、それぞれのストレスが倍増して、けんかが起こりやすくなり、それによってまたストレスがかかるという悪循環に陥ります。新たに犬を迎えるのは、先住犬のストレス行動がなくなって、落ち着いて行動できるようになってからにしましょう。

 

 

飼い主側の問題

犬側の受け入れ態勢だけでなく、飼い主側の受け入れ態勢についても整えておく必要があります。新たに犬を迎えると、飼い主の負担も増えます。犬を迎える前に、そういう負担に耐えられるかどうかについて、よく考えてきましょう。食費や医療費などについてはもちろんのこと、身の回りの世話にかかる時間も倍になります。

 

 

散歩はいっしょに行けばいいと考えている方もいるかもしれませんが、それではお互いに満足できません。それぞれの犬によって、行きたいコースやにおいを嗅ぎたい場所は違いますから、一緒に連れて行ってしまうと、それぞれが我慢を強いられてしまいます。それにより散歩の質は低下し、日々のストレス解消が不十分になります。

 

 

さらに、1頭ずつの散歩には、飼い主と1対1で交流するという意味もあります。他の犬を気にせずに、飼い主に思う存分甘えることもできる貴重な時間なのです。いっしょに連れて行ってしまうと、新入り犬が来る前よりも飼い主との交流時間が減りますから、不満が生じます。散歩にはかならず1頭ずつ連れて行ってあげるということが、犬の満足度を高めていい関係を築くために重要なことです。

 

 

もし、それが大変だと思うのであれば、犬を新たに迎えるのはやめましょう。犬の頭数を、1頭ずつの散歩ができる範囲にとどめておくことが、犬の幸せのためです。

 

 

こうした身の回りの世話に加えて、動物たちが平和に共存できるように、気を配ってあげることも飼い主の仕事です。頭数が増えれば、たとえ仲がよくても小競り合いが増えますから、いつも気を付けていて、本格的なけんかに発展しないように、すぐに介入してあげることが必要です。けんかを放置していると、お互いに対してどんどん悪い関連付けをしてしまいます。

 

 

けんかを防ぐには、小競り合いが始まりそうになったときに、タイミングを逃さずに、落ち着いて、無言で、黙って、穏やかに、2頭の間に体を割り込ませます。これは動物同士が使うカーミングシグナルです。そして、一瞬落ち着いたすきに、2頭を引き離すように誘導しましょう。犬同士はよくこのようにして紛争を回避しています。

 

 

複数の犬が平和に暮らすには、それぞれに安全な避難場所の確保ができるようにしてあげることが必要です。少ない資源をめぐって争いが起きないように、快適な寝場所を多く設置しましょう。室内では快適な場所は限られていますし、飼い主もせいぜい数名しかいないのですから、犬の数は2~3頭が限度といえます。

 

 

新たに犬を迎えることで、犬のQOL(生活の質)が低下するようなことがあってはなりません。QOLを向上ないし維持できるという見通しが持てれば、多頭飼育は犬にとっても飼い主にとっても楽しいものとなります。

 

 

多頭飼育のメリットとデメリット

多頭飼育には、どんなメリットがあるでしょうか。冒頭で述べたように、犬は社会性が高い動物です。その社会的欲求を、相性のいい犬仲間と暮らすことで満たすことができます。犬は犬同士のほうがスムーズにコミュニケーションがとれますから、お互いによく分かり合うことができます。円滑なコミュニケーションは、ストレスの解消にも役立ちます。ひとりさびしく暮らしていた犬が、仲間を得て元気になることもあります。

 

 

それから教育効果も期待できます。片方が成犬で、片方が子犬の場合、成犬が子犬に犬の世界のさまざまなことを教えてくれますから、人間が教えるよりもずっと的確で効率のいい子犬育てができます。経験豊富でよく社会化された成犬がいる場合、飼い主が子犬に教えることは何もありません。これは飼い主にとっても、とても大きなメリットです。

 

 

ところが、先住犬の社会化が不十分で、ストレス行動がたくさんあると、子犬は実に効率よくそれらを吸収しますから、困った行動だらけの犬に育っています。そうなると、飼い主の苦労は倍増します。

 

 

多頭飼育には犬と飼い主の双方にとってのメリットもありますが、先住犬の状態と自分自身の暮らしぶりを冷静に判断しないと、それらすべてがデメリットになってしまう危険性もあります。憧れや願望などで新たに犬を迎え入れて、みんなが苦労するなどということのないように、慎重に検討しましょう。

 

 

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