その遊び、喜んでいる?

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犬が喜ぶ遊びとは

犬と暮らすからには、いっしょに楽しい遊びをしたい、犬が喜ぶ遊びが知りたい、という話を聞きます。そんなときは、犬をよく観察してみましょう。犬には犬のやり方があって、それは人間のやり方とは少し違っています。

 

 

子犬は同腹の兄弟たちとよくじゃれあって遊びます。上にのしかかってプロレスごっこをしたり、軽く噛んだり、追いかけっこしたり。エキサイトしすぎると自分たちで休憩しています。こういう体を使った遊びは、成犬になるにつれてだんだんやらなくなってきます。それは人間でも同じです。

 

 

子犬から成犬まで共通しておこなうのは一人遊びです。道端でなにか見つけてくわえてみたり、虫をじーっと眺めてみたり、水の中に入ったり、草の上を転がったり。友達犬と散歩をしていて、それぞれが一人遊びを楽しみつつ、ときどきその楽しみを共有するということもあります。これが犬の遊びなのです。

 

 

人間が考える遊びはつまらない!?

ボールやディスクなどを投げて持ってこさせたり、おもちゃの引っ張りっこをしたり、というような人間が考える犬の遊びとはずいぶん違っています。人間が考える遊びは、同じ動作の繰り返しなので非常に単調です。

 

 

そして、犬を激しく動かせることにより、興奮を煽ってしまいます。興奮した犬は、よく考えることなく、いつまでもその遊びをやり続けます。これは一見喜んでやっているように思えますが、実は興奮によって思考回路が麻痺しているだけなのです。

 

 

同じことは追いかけっこについても言えます。子犬が兄弟とやる追いかけっこは、相手を追いかけて走り回るというよりは、じゃれているというほうが近いでしょう。そして成犬になるとあまりやらなくなってきます。ですが、ドッグランにいる犬たちを見るとみんな激しく走り回っています。これは成犬としては異常な行動です。

 

 

激しい遊びはストレスの元

そうなってしまうのは、次のような理由によるものです。ドッグランでは狭い場所に多くの犬がいるため、適切な距離をとることができません。そのストレスに加えて、社会化不足による他の犬への過剰反応、犬同士の小競り合い、他の犬の興奮などが相乗効果をもたらして、みんなに興奮が伝染していきます。

 

 

犬の激しい遊び

この写真の犬の表情をよく見てください。口を大きく横に引いており、きつい目をしています。一見笑顔のように見えますが、これはひどく興奮しているときの顔であり、「ストレススマイル」です。

 

 

激しく追いかけっこをしている犬たちは、楽しんでいるのではなく興奮しているのです。興奮はストレスになり、ストレスからさらに興奮するという悪循環が起こります。

 

 

興奮させない遊び方

興奮させないようにするというのが、犬との遊びでもっとも気をつけたいことです。ボールやディスクを投げれば、犬は追いかけて興奮しますから、そういう遊びはやめましょう。犬がボール大好きになってしまっている場合には、ボールで一人遊びをしてもらいましょう。

 

 

ボールを投げるのではなく、犬の前にポトッと落としてあげます。反応がよくない場合は、下記の動画のように、最初の一回だけ数メートルほど軽く転がしてあげてもいいでしょう。

 

https://www.youtube.com/watch?v=vHhyirFgcBU

 

人間が介入するのはほんの数回だけで、あとは一人で遊んでもらいます。犬は少し遊んだらすぐにやめるでしょうが、それでいいのです。おもちゃの場合も同じように手から落としたり、犬に手渡したりなどして、遠くに投げないようにします。

 

 

こうした遊び方は室内でも外でも同じです。ですが、室内では基本的に寝て過ごすというのが、安定して落ち着いた犬の姿です。室内で歩き回る時間が長かったり、遊びをせがんだりする場合は、興奮やストレスの度合いが高いということを意味しています。たくさん遊んでストレスを発散させようとする前に、ストレスの原因をなくすように、生活環境や接し方を見直しましょう。

 

 

室内で静かに過ごす分、外では自由に遊べるようにすると、犬の満足度がアップします。庭があるお宅では、塀などで囲って放してあげましょう。ひとりで遊んでいる分には、興奮しすぎることはありません。同居犬がいる場合は、遊んでいるうちにエキサイトしてきたら、静かに間に割って入ると引き分けることができます。様子を見ていて、必要なときに介入するようにしてください。

 

 

犬といっしょに楽しもう

先に、犬は友達犬といっしょに散歩することを楽しむと書きました。それも犬の遊びですが、人間が友達犬の代わりになってあげることもできます。そして犬はそれをとても喜んでくれるのです。長いリードで静かな場所をゆっくり歩いていると、犬は自由にいろいろなもののにおいを嗅ぎます。犬が行くところに付いていくと、犬の興味関心の対象がわかります。それを分かち合うのです。

 

 

犬が嗅いでいるもののにおいを自分も嗅いでみたり、犬が集中して見つめているものをいっしょに見たりして、五感をフルに使って犬が感じているものと同じものを体験します。いっしょに遊んでいるという感じはあまりしないかもしれませんが、犬は人間が経験を共有しようとしていることをちゃんと理理解します。中にはうれしそうな様子を見せる犬もいます。

 

 

このような経験を共有することこそが、犬といっしょに遊ぶということなのです。わたしたちは人間なので、興味の対象は人間的な基準で取捨選択しています。それを犬の基準に変えるのです。犬は人間が注意を払わないようなものに興味を示します。それを経験してみると、犬の世界が見えてきます。

 

 

犬の目線で、犬風に

わたしたちは手で触ったり、目で見たりしますが、犬は口と鼻で探索します。人間が口で探索できるものは限られていますが、におうことはできるので、嗅覚をよく使うように意識します。少ししゃがんで、犬と同じぐらいの目の高さから眺めると、違ったものが見えてきます。このようにして犬の世界に入っていくと、犬は静かに歓迎してくれます。人間が興味を持ったものをチェックしに来てくれたりもします。

 

 

体を使った遊びは、成犬になるにつれてあまりやらなくなってきます。ですが、天気がいい日に原っぱで寝そべると、犬も隣で転がって体を擦り付けてきたりします。こういう体の接触もまた、遊びの一種といえます。

 

 

前足を伸ばす姿勢は「プレイバウ」と呼ばれる遊びに誘うしぐさですが、これを人間に対してもやります。軽く横っ飛びをするのも「遊ぼう」という誘いです。そんなときは、四つんばいになって、人間特有の「手」は使わずに、犬のように振る舞ってみましょう。犬のようにうまくはいきませんが、喜んでもらえます。

 

 

犬のように遊ぶ場合も、犬を興奮させないように、数分ごとにクールダウンする時間をとりながら、短時間で終わるように気をつけましょう。よく言われているように、犬から誘ってきた遊びには乗らないとか、遊ぶ前にオスワリなどの命令に従わせるなどといった無粋なことはやめましょう。遊びはコミュニケーションであり、コミュニケーションは双方向的なものです。コミュニケーションは、お互いのことを理解して、仲間になるために行うものです。命令は必要ありません。

 

 

以上のようなことは一般的に考えられている犬との遊びのイメージとは違うかもしれますが、犬の側から見た遊びはこのようなものだと思います。人間の流儀を押し付けるのではなく、犬の流儀を理解すること、そして犬の流儀に合わせることを意識してみましょう。それは人間にとっても新鮮な体験なはずです。

 

 

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