投稿者: inusodate

  • その遊び、犬は喜んでいる?

    その遊び、犬は喜んでいる?

    犬が喜ぶ遊びとは

    犬と暮らすからには、いっしょに楽しい遊びをしたい、犬が喜ぶ遊びが知りたい、という話を聞きます。そんなときは、犬をよく観察してみましょう。犬には犬のやり方があって、それは人間のやり方とは少し違っています。

     

     

    子犬は同腹の兄弟たちとよくじゃれあって遊びます。上にのしかかってプロレスごっこをしたり、軽く噛んだり、追いかけっこしたり。エキサイトしすぎると自分たちで休憩しています。こういう体を使った遊びは、成犬になるにつれてだんだんやらなくなってきます。それは人間でも同じです。

     

     

    子犬から成犬まで共通しておこなうのは一人遊びです。道端でなにか見つけてくわえてみたり、虫をじーっと眺めてみたり、水の中に入ったり、草の上を転がったり。友達犬と散歩をしていて、それぞれが一人遊びを楽しみつつ、ときどきその楽しみを共有するということもあります。これが犬の遊びなのです。

     

     

    人間が考える遊びはつまらない!?

    ボールやディスクなどを投げて持ってこさせたり、おもちゃの引っ張りっこをしたり、というような人間が考える犬の遊びとはずいぶん違っています。人間が考える遊びは、同じ動作の繰り返しなので非常に単調です。

     

     

    そして、犬を激しく動かせることにより、興奮を煽ってしまいます。興奮した犬は、よく考えることなく、いつまでもその遊びをやり続けます。これは一見喜んでやっているように思えますが、実は興奮によって思考回路が麻痺しているだけなのです。

     

     

    同じことは追いかけっこについても言えます。子犬が兄弟とやる追いかけっこは、相手を追いかけて走り回るというよりは、じゃれているというほうが近いでしょう。そして成犬になるとあまりやらなくなってきます。ですが、ドッグランにいる犬たちを見るとみんな激しく走り回っています。これは成犬としては異常な行動です。

     

     

    激しい遊びはストレスの元

    そうなってしまうのは、次のような理由によるものです。ドッグランでは狭い場所に多くの犬がいるため、適切な距離をとることができません。そのストレスに加えて、社会化不足による他の犬への過剰反応、犬同士の小競り合い、他の犬の興奮などが相乗効果をもたらして、みんなに興奮が伝染していきます。

     

     

    犬の激しい遊び

    この写真の犬の表情をよく見てください。口を大きく横に引いており、きつい目をしています。一見笑顔のように見えますが、これはひどく興奮しているときの顔であり、「ストレススマイル」です。

     

     

    激しく追いかけっこをしている犬たちは、楽しんでいるのではなく興奮しているのです。興奮はストレスになり、ストレスからさらに興奮するという悪循環が起こります。

     

     

    興奮させない遊び方

    興奮させないようにするというのが、犬との遊びでもっとも気をつけたいことです。ボールやディスクを投げれば、犬は追いかけて興奮しますから、そういう遊びはやめましょう。犬がボール大好きになってしまっている場合には、ボールで一人遊びをしてもらいましょう。

     

     

    ボールを投げるのではなく、犬の前にポトッと落としてあげます。反応がよくない場合は、下記の動画のように、最初の一回だけ数メートルほど軽く転がしてあげてもいいでしょう。

     

    https://www.youtube.com/watch?v=vHhyirFgcBU

     

    人間が介入するのはほんの数回だけで、あとは一人で遊んでもらいます。犬は少し遊んだらすぐにやめるでしょうが、それでいいのです。おもちゃの場合も同じように手から落としたり、犬に手渡したりなどして、遠くに投げないようにします。

     

     

    こうした遊び方は室内でも外でも同じです。ですが、室内では基本的に寝て過ごすというのが、安定して落ち着いた犬の姿です。室内で歩き回る時間が長かったり、遊びをせがんだりする場合は、興奮やストレスの度合いが高いということを意味しています。たくさん遊んでストレスを発散させようとする前に、ストレスの原因をなくすように、生活環境や接し方を見直しましょう。

     

     

    室内で静かに過ごす分、外では自由に遊べるようにすると、犬の満足度がアップします。庭があるお宅では、塀などで囲って放してあげましょう。ひとりで遊んでいる分には、興奮しすぎることはありません。同居犬がいる場合は、遊んでいるうちにエキサイトしてきたら、静かに間に割って入ると引き分けることができます。様子を見ていて、必要なときに介入するようにしてください。

     

     

    犬といっしょに楽しもう

    先に、犬は友達犬といっしょに散歩することを楽しむと書きました。それも犬の遊びですが、人間が友達犬の代わりになってあげることもできます。そして犬はそれをとても喜んでくれるのです。長いリードで静かな場所をゆっくり歩いていると、犬は自由にいろいろなもののにおいを嗅ぎます。犬が行くところに付いていくと、犬の興味関心の対象がわかります。それを分かち合うのです。

     

     

    犬が嗅いでいるもののにおいを自分も嗅いでみたり、犬が集中して見つめているものをいっしょに見たりして、五感をフルに使って犬が感じているものと同じものを体験します。いっしょに遊んでいるという感じはあまりしないかもしれませんが、犬は人間が経験を共有しようとしていることをちゃんと理理解します。中にはうれしそうな様子を見せる犬もいます。

     

     

    このような経験を共有することこそが、犬といっしょに遊ぶということなのです。わたしたちは人間なので、興味の対象は人間的な基準で取捨選択しています。それを犬の基準に変えるのです。犬は人間が注意を払わないようなものに興味を示します。それを経験してみると、犬の世界が見えてきます。

     

     

    犬の目線で、犬風に

    わたしたちは手で触ったり、目で見たりしますが、犬は口と鼻で探索します。人間が口で探索できるものは限られていますが、におうことはできるので、嗅覚をよく使うように意識します。少ししゃがんで、犬と同じぐらいの目の高さから眺めると、違ったものが見えてきます。このようにして犬の世界に入っていくと、犬は静かに歓迎してくれます。人間が興味を持ったものをチェックしに来てくれたりもします。

     

     

    体を使った遊びは、成犬になるにつれてあまりやらなくなってきます。ですが、天気がいい日に原っぱで寝そべると、犬も隣で転がって体を擦り付けてきたりします。こういう体の接触もまた、遊びの一種といえます。

     

     

    前足を伸ばす姿勢は「プレイバウ」と呼ばれる遊びに誘うしぐさですが、これを人間に対してもやります。軽く横っ飛びをするのも「遊ぼう」という誘いです。そんなときは、四つんばいになって、人間特有の「手」は使わずに、犬のように振る舞ってみましょう。犬のようにうまくはいきませんが、喜んでもらえます。

     

     

    犬のように遊ぶ場合も、犬を興奮させないように、数分ごとにクールダウンする時間をとりながら、短時間で終わるように気をつけましょう。よく言われているように、犬から誘ってきた遊びには乗らないとか、遊ぶ前にオスワリなどの命令に従わせるなどといった無粋なことはやめましょう。遊びはコミュニケーションであり、コミュニケーションは双方向的なものです。コミュニケーションは、お互いのことを理解して、仲間になるために行うものです。命令は必要ありません。

     

     

    以上のようなことは一般的に考えられている犬との遊びのイメージとは違うかもしれますが、犬の側から見た遊びはこのようなものだと思います。人間の流儀を押し付けるのではなく、犬の流儀を理解すること、そして犬の流儀に合わせることを意識してみましょう。それは人間にとっても新鮮な体験なはずです。

     

     

  • 犬が「お父さん」にだけ警戒するのはなぜ!?

    犬が「お父さん」にだけ警戒するのはなぜ!?

    家族の中で「お父さん」だけに吠えるとか、警戒するとかいう話をよく聞きます。

     

     

    その理由は、男性は背が高く、声が低く、動作ががさつで、支配性が強い人が比較的多いからかもしれません。

     

     

    逆に、背が低く、声が高く、すごくのんびりした性格で動作がゆっくりで、支配的でないお父さんだと、犬の人気者になる傾向が高いです。そして、犬のことはそれほど構わず、ひざに乗ってきたら話しかけたり、たまには、美味しい食べ物をおすそわけしたりしていたら、きっと好かれることでしょう。

     

     

    ですが、そうでないお父さんたちが多く、そのうえ夜遅くに帰ってきたりするので、ますます犬たちを警戒させることになります。さらに、仕事の疲れから「癒し」を求めて犬にちょっかいを出すなどというようなことをしたら、ますます嫌われてしまうのも無理はないのです。

     

     

    中には、「〇〇ちゃんはかわいいね~、きょうはお父さん大変だったんだよ~、〇〇ちゃん、わかる~」などと言って、やたら犬に話しかける人もいるようですが、そういう行動も犬をイライラさせたり興奮させたりします。

     

     

    警戒にしろ興奮にしろ、すでにお父さんに吠えるようになっているのであれば、なるべく静かにそっと帰宅して、犬に声をかけたり構ったりせずに、目をそらすカーミングシグナルを出しながら、ひっそりしていてもらいましょう。

     

     

    何週間、何か月と続けていると、犬は「この人は安全だ」と認識して、自分の方から近づいて行くようになるでしょう。

     

     

    もちろんそうなっても、わしわし触ったり声をかけたりせずに、まばたきをしたり目をそらしたりなどのカーミングシグナルを出しながら、穏やかな笑顔を見せてあげましょう。

     

     

    犬を撫でたがる人は多いですが、実は犬はそんなに撫でられたくはないのです。犬が撫でてほしいときに、撫でさせていただく、という心構えが大切です。ですが、いくら撫で回さないようにと言っても、なかなか聞き入れてくれない、という話もよく聞きます。

     

     

    その場合は、カーミングシグナルの解説をしながら、犬の気持ちについて話してみましょう。舌をペロッとしたとか、顔を横に向けたなどのシグナルを実況するとわかってもらいやすいです。

     

     

    お父さんがなかなか行動を変えてくれないという話もよく聞きますが、ただ「~して」「〜しないで」というだけで聞いてくれることはまずないですし、逆に反感を買ってしまうことさえあります。

     

     

    その行動が犬にとってストレスになること、ストレスはいわゆる問題行動を引き起こすこと、犬にとって嫌なことをしなければ、犬はもっとお父さんのことを好きになってくれること、などを説明してみましょう。

     

     

    どうして協力してくれないの!?と感情的になったり、お父さんの行動を否定するような言い方をしたりしていると、余計にこじれてしまいます。

     

     

    家庭内の人間同士の関係も友好的なものにするよう、よく話し合うといいでしょう。

     

     

  • 犬のネガティブな感情も共有しよう

    犬のネガティブな感情も共有しよう

    みなさんは、犬と感情を共有していますか?

     

     

    うれしい、楽しいなどのポジティブな感情の共有はしやすいですが、怖いとか、不安などのネガティブな感情は、どうしても否定しがちです。もしかしたら、慣れさせようとしつけに励んだりするかもしれません。

     

     

    苦手なものが犬と似ていたら、そうは思わないでしょうけれど、「何でそんなのが怖いんだ」、「甘えている」、「そんなことでどうする」みたいな反応をしてしまうことはありませんか?

     

     

    身体の大きさや犬種によって、受け止められ方が異なることもあります。例えば、大型犬が怖がりだと、ほかの人からそんな対応をされることが結構あるのです。

     

     

    ですが、そういう気持ちを否定したり、笑ったりしたところで、いいことは何もありません。

     

     

    むしろ、「嫌だね」、「怖いね」、「不安だね」と肯定したほうが、いい結果になるのです。まず、それによって犬は安心します。

     

     

    そして、そういってくれた人に対して肯定的な感情を持つようになります。言ってみれば、信頼してくれるのです。すると、それがエンパワーメント(勇気付け)となって、自信がついてきます。結果的に、自分で対処できることが増えてくるのです。

     

     

    このことは、人間の世界では常識の部類だと思いますが、犬となるとまったく認知されていません。

     

     

    以前、保護した犬は、外の世界をまったく知らなかったので、怖いものだらけでした。その気持ちを否定せず、共感して、なるべく怖くないように、快適なように過ごしていたら、どんどんいろんなことが平気になっていったのです。

     

     

    そして、他犬の争いの仲裁をするようになるほど、とても勇敢で、自信にあふれた犬になりました。

     

     

    人間自身が、幼い頃に否定されて育っていることもあると思います。ですが、こうした肯定的な犬育てを通じて、自分自身を育てなおすことにも繋がったりするのです。犬がどんどん自分への信頼を取り戻していくに連れて、自分自身への肯定的な気持ちが芽生えていきます。

     

     

    そうやって、お互いに安心してニコニコと暮らせるようになるのです。

     

     

    相手への配慮というのは、しなければいけないこととか、自分を犠牲にしてするというようなことではなく、いい関係を築いてお互い心地よく、生きやすくなるためにすることではないでしょうか。

     

     

    ぜひ、犬の感情に耳を傾けて、感情を共有してみましょう。

     

     

  • 動物病院での待ち方について

    動物病院での待ち方について

    犬たちにとって、動物病院は注射などの痛いことをされたり、体を色々触られたりする怖いところではないでしょうか。

     

     

    多くの犬猫たちは病院が苦手だと思います。病院に行くとわかると車の中で絶叫したり、プルプルと震えたりしてとても緊張している犬たちも多いと思います。

     

     

    そんな中でほかの犬や知らない人がいる待合室で診察の順番を待つというのはさらに緊張と恐怖がどんどん増していきます。

     

     

    待合室が緊張するときは、お外で待っていたり、車の中で待っていたりしてもいいと思います。携帯電話をもっていたら、看護師さんに順番がきたことを電話で教えてもらうこともできます。外や車の中だとほかの犬猫や彼らと一緒にいる人間を見て興奮することもないのでおすすめです。

     

     

    最初に獣医さんと看護師さんにお願いをして、順番が来るまで車の中に待機して、診察の順番が来て名前が呼ばれてから診察室に連れていくようにすると、怖さや緊張が少し緩和できるので是非試してみてください。

     

     

    特に人が怖かったり、近づかれるのが怖かったりする犬の場合、看護師さんが迎えにきたり、ドアの開け閉めをしてあげようとドアのところに立っていたり、ほかのお客さんが前方に立っていると怖がってしまうため、ドアから診察室の入口までの通路に誰もいないように確保してもらい、スムーズに診察室に辿りつくようにしてもらうと安全です。

     

     

    看護師さんには名前を呼んでもらったら、診察室のドアをフルオープンにしてもらい、通路を確保したら、看護師さんと獣医さんには診察室の一番奥で待っててもらうようにお願いするとより安心して診察台までたどりつけます。

     

     

    そうしてもらうことで、スムーズに診察室に入ることができ、獣医さんの診察も過度に興奮した状態や怖がっている状態で受けることが少なくなります。

     

     

    診察室に入るまでに時間はかかってしまいますが、ほかのお客さんに遠慮してズルズルと急いで引きずっていかずに時間をかけてゆっくり診察室に入ってください。そのときちょっと会釈をするといいと思います。みんな犬や猫と暮らしている人たちです。犬や猫の怖くて緊張する犬の気持ちを分かって待っていてくれると思います。

     

     

    このようなことは、最初の診察の時に、あらかじめ人間だけで病院を訪ね、こういう対応をしてもらいないかとお願いしておくといいでしょう。また、このような対応を快く了承してくれる病院をかかりつけ医にすると病院にいく負担が軽減されます。

     

     

    キャリーバックやスリングに入っていたほうがいいのか、抱っこして診察室へ行くほうがいいのか、それともゆっくり歩いて診察室へいくほうがいいのかは、犬の大きさにもよりますが、一番犬たちにとって受け入れやすい方法を考えてみてください。

     

     

    病院が苦手だ!という犬はたくさんいるのではないかと思います。一番いいのは病院が好きになることですが、それはなかなか難しい・・・。おやつがもらえたとしてもそれよりも嫌なことが多いです。痛いことが待っているし、高い台に乗らないといけないし、何があるかわからないし・・・。犬や猫たちはもう緊張と怖さでドキドキしていると思います。

     

     

    他の人の迷惑にならないように、病院の待合室で「ちゃんと座りなさい」と犬に何度も声をかける人をよく見かけます。その犬の顔をみると、もう緊張と不安でたまらないという表情をしています。また別の子はピーピーと鼻鳴きをし、落ち着かない様子でソワソワウロウロ。一緒にいる人間は「もうウロウロしないで」と言い、リードをグイッと引きます。こういう光景をよく見かけます。

     

     

    動物病院の待合室でオスワリをしたり、落ち着いて待っていたりしなくてもいいのです。犬たちは不安と緊張でそれどころではないのですから。

     

     

    リードを少し短めに持って他の犬に近づかないようにしておけば、ソワソワしてもいいだろうし、オスワリしてなくてもどんな格好でもよいから、それよりも犬たちの気持ちに目を向けるようにしましょう。そして、「緊張するね。今日は注射があるからちょっと頑張ってね」と励ましてあげてください。

     

     

    どうしたら負担が少しでも減るかなという視点で工夫をして、動物病院に行くようにしてみたら、犬猫たちはうれしいだろうと思います。

     

     

  • 社会性を育てたい?他の犬と触れ合うときの注意

    社会性を育てたい?他の犬と触れ合うときの注意

    他の犬と仲良くさせたいと思う人は多いでしょう。

     

     

    しかし、ここで不用意なことをしてしまうと、逆に他犬が苦手になってしまいます。そうならないためにはどうしたらいいか、それを説明します。

     

     

    感受期の過ごし方が大事

    犬は社会性が高い動物です。犬の特徴は、同属だけでなく、人間をはじめ異種の動物とも仲間になれるというところにあります。社会性が高い動物にとっては、仲間と交流することは社会的欲求であり、生きていく上で不可欠なものです。同居人たちもそのことに気づいているからこそ、自分の犬を他の犬と仲良くさせようとするのでしょう。

     

     

    ですが、ここで気をつけなければならないことがあります。犬は他の犬との交流の仕方を、生まれながらに身に着けているわけではありません。生後3週齢から12週齢にかけての社会化の感受期と呼ばれる時期に、他の犬や人間なども含めた外界との付き合い方を集中的に学ぶのです。この大事な時期を、外界から隔絶された場所で過ごしてしまうと、学習することが非常に難しくなってしまいます。

     

     

    ペットショップ犬特有の問題

    日本の場合、ペットショップから犬を買ってくる人が大多数を占めます。ショップの犬は、生後4~5週齢前後で親兄弟から離されたのち、流通ルートに乗せられ、ショーケースに展示され、買われていきます。

     

     

    ですが、すぐに散歩を始める犬はまれです。ワクチンプログラムが完了する12~16週齢までは、外に出さないようにということが一般的に言われているので、室内に閉じ込めておく人がほとんどです。その結果、社会化の感受期に他の犬と触れ合う機会がないままに成長してしまうのです。

     

     

    そういう犬たちは、ワクチンプログラムがすむまで、刺激が少なすぎる環境におかれるため、外界と付き合うスキルを発達させることができません。いきなり外に連れて行かれても、はじめて見たり聞いたりするものだらけで、おびえてしまうのは当然です。ところが同居人は、さあ散歩だ、他の犬に慣らそう、などと意気込んで、どんどん強い刺激にさらします。すると犬はさらに恐怖に駆られます。

     

     

    こうして、外嫌い、他の犬嫌いになってしまうのです。もちろん、すぐに適応する犬もいます。ですが、散歩自体が嫌いになってしまう犬も非常に多いのです。

     

     

    まずは準備から

    そういう場合、無理強いは禁物です。まずは犬が対処できないほどの刺激にさらさないように、人や犬や車などが少ない、静かで安全な場所まで直接連れて行って、リラックスするところから始めます。環境に慣らすのが先なので、この段階では他の犬には会わせないようにします。もし近づいてくる人がいたら、近づかないでくれるようにお願いします。

     

     

    外にいてもビクビクせずにリラックスして、地面のにおいを嗅いだり草を食べたりなどすることができるようになったら、他の犬と交流する準備ができたということです。それまでは、他の犬には近づけないようにしましょう。

     

     

    怖がっている状態で他の犬と会っても上手に対処できませんし、怖さから攻撃的な態度に出てしまうことがあります。すると、他の犬は怖いものと関連付けてしまって、犬嫌いが悪化してしまいます。一度強く関連付けられたものを変えていくのは、とても時間がかかることです。ですので、よくない関連付けをしないように気をつけることが、非常に重要なのです。

     

     

    他の犬がすっかり嫌いになってはいない状態であれば、犬は穏やかな犬には自分からそっと近づいていくようになります。人間が犬に近づけるのではなく、犬が自分から相手に近づいていくのを待っていてあげるというのが、もっとも無理がかからないやり方です。消極的なように見えますが、これがもっとも確実で失敗が少ないやり方です。

     

     

    しっかりサポートしよう

    他の犬に近づく際には、しっかりサポートしてあげることが重要です。この時点で、犬自身はまだ他の犬との付き合い方がわかっていませんし、相手の性格を見極めるスキルもありませんから、人間が手伝う必要があるのです。子犬のころに散歩していて他の犬に噛まれたために、犬が苦手になってしまったという話もよく聞きます。そうなることは避けないといけません。

     

     

    そのためには、相手の犬と人間の様子をよく観察することが重要です。人間が犬を乱暴に扱っている場合は、犬の攻撃性が高まっていますから近寄らないようにしましょう。チョークチェーン(首が絞まる金属製の鎖)をつけている犬も、首の痛みからいきなり攻撃してくることがあるので、確実に避けてください。犬も人間もゆっくり歩いていて、やさしく穏やかに接している人間の犬は、おだやかで行儀がいいことがほとんどです。そういう犬には近づいても大丈夫です。

     

     

    他の犬に接近しているときは、リードがピンと張らないように、十分にたるませておいて、怖くなったらいつでも自分で逃げられるようにしておきます。そのためには、短いリードではなく、3メートル以上の長いリードを使いましょう。自動巻き取り式のリードは危険なのでやめましょう。そして、首輪で首を絞めないように、体に優しいハーネスを使用します。

     

     

    他の犬にガウガウいう場合

    他の犬を見たとたんにガウガウ言う、突進しようとする、吠える、相手を凝視する、などの行動が見られる場合は、他の犬が苦手になっているということです。また、よろこんで突進しようとする場合も、犬との上手な付き合い方を学んでいないということです。こういう犬には近づけないようにしましょう。

     

     

    自分の犬がこのような行動をするのであれば、犬との付き合い方を学習しなおしてもらう必要があるということです。先に述べた社会化の機会を逸した犬と同じように、他の犬を避けるところからはじめましょう。自分の犬がうまく挨拶できているかどうかわからないという場合は、次の動画をご覧ください。

     

     

    上手な挨拶とは

    https://youtu.be/fabhkZQDtHk

     

    これが上手な挨拶です。手前の犬は、挨拶しようとしてうれしそうに近づいていきます。尻尾の位置が右側にあるので、肯定的な気持ちになっていることがわかります。奥の犬は顔を横に向けて、フリーズしています。これは敵意がないということと、もう少し落ち着いてほしいということを相手に伝える犬のボディランゲージ(カーミングシグナル)です。

     

     

    そのシグナルに対し、手前の犬は歩く速度を落としていっていったん止まり、自分も顔を横に向け、一度仕切りなおしの撤退をしています。これらはすべて、相手を安心させるためのボディランゲージです。そして少し距離をとって、そこからまたシグナルを出して相手を安心させた後、ゆっくりと近づいていきます。

     

     

    すると奥の犬も、尻尾を軽く振りながら、友好的に迎え入れて、挨拶の交換が始まります。お互いに軽くにおいを嗅いだら、すぐに別れていきます。よく社会化された成犬は、他の犬とこのように交流します。

     

     

    こうした挨拶ができない場合は、犬の挨拶マナーを学習していないか、誤学習してしまっています。次の動画をご覧ください。

     

     

    よくない挨拶とは

    https://www.youtube.com/watch?v=z18_TAYooHo

     

    これは犬の挨拶マナーを学習していないか、間違った学習をしてしまった例です。他の犬をしつこく追いかけたり、飛びついたりしています。多くの犬が集まって走り回るドッグランでは、こうしたことが起こりがちです。

     

     

    他の犬に追い回されるなどして嫌な思いをすることで、犬が苦手になったり、あるいは逆にいじめられる前に先制攻撃を仕掛けるようになったりして行きます。ドッグランは、一般的に考えられているような、社会化を促進するものではなりません。

     

     

    それどころかむしろ、よくない経験によって他の犬嫌いにする場所です。他の犬と上手に交流できるようにするには、ドッグランに連れて行かないということが非常に重要です。

     

     

    回避を続けると挨拶上手に

    それよりも、静かにゆっくりと散歩をする中で、興奮した犬やストレスがかかった犬を避けるということを地道に続けましょう。

     

     

    そうしていると、穏やかな犬には挨拶するようになります。穏やかな犬は犬の挨拶も上手ですから、そこでいい犬マナーを学習することができます。最初の動画のように他の犬と交流できるようになると、社会的欲求が満たされて犬の生活の質が向上します。

     

     

    それを目指して、まずは回避するところからはじめましょう!