犬は、1日のほとんどを室内で過ごします。
そのため、どのような環境で暮らしているかは、健康だけでなく、安心感やストレスにも大きく影響します。
ドイツなどでは犬の飼育環境について法律で基準が定められていますが、日本では同居人の判断にゆだねられています。
だからこそ、「犬目線」で暮らしやすい環境を整えることがとても大切です。
この記事では、犬が安心してのびのび暮らせる室内環境づくりのポイントをご紹介します。
犬が快適に暮らせる室内環境の4つのポイント
では、具体的にどんな風にすればよいのかみていきましょう。
落ち着いて過ごせる空間をつくる
広々とした空間を意識する
ワンルームだったり人間にとっても狭いと感じたりするような空間であれば、犬にとっても快適とは言えません。
床面積が十分であっても、家具や荷物が多く生活スペースが狭くなっているケースもあります。
不要な物を減らして整理整頓することで、犬がゆったり過ごせる空間を確保しましょう。
寛げる場所を複数用意する
犬用ベッドは一つだけではなく、日向や日陰、静かな場所などに複数用意し、その時々で犬自身が快適な場所を選べるようにすると安心です。
一方で、サークルやケージ、クレートを設置し、そこで犬を寝かせたり留守番をさせたりすることを勧められるかもしれません。
犬のしつけのためや災害時に犬を守るために必要だといわれていますが、日常的に閉じ込められることは犬にとって快適とは言えません。
犬は社会性が高く、私たち人間の近くにいることを好む動物です。
自由を制限されると、不安やストレスが蓄積し、噛みつき・破壊・吠えなどのいわゆる問題行動(=ストレス行動)としてあらわれます。

安全に暮らせる環境を整える
滑りにくい床材を選ぶ
多くの家の床で合板のフローリングが採用されていますが、犬の足ではツルツルと滑ってしまうため、膝や股関節に負担がかかります。
負担がかかり怪我をする危険性があるだけでなく、不快ですし滑っているうちに興奮してくることもあります。
滑り止めのワックスを塗るのも一つですが、化学物質を含むため、床を舐める可能性があることを考えると望ましくありません。
そこでオススメしたいのは床の全面に、滑りにくいクッションフロアやタイルカーペットなどを敷き詰めることです。
犬の足の裏が汚れた状態で外から戻ってきて、床が汚れるのが気になる方は、掃除がしやすいものにしたり、出入り口にマットを敷いておいたりするといいでしょう。
最近は滑りにくい床材がいろいろと商品化されているので、新築する場合はそのようなものを選んだり、滑りにくい針葉樹にしたり、ヒヤっとして夏場は心地良いタイルをしたりはったり、足に優しいいくつかの素材を採用してみるのもいいですね。
危険なものは片付ける
人間の食べ物、小物や電気コードなど、犬にとって危険なものはや齧られたくないものは、届かない場所に片付けておきます。
どうしても片付けられないものは、段ボールやカバー類で覆うなどして工夫しましょう。
ただ、本来落ち着いた犬は、危険なものをあえて噛んだり食べたりすることはありません。
環境を整えると同時に、犬が安心して暮らせるストレスが少ない生活になっているかも見直してみましょう。
また、子犬の歯の生え変わりや、成犬でも気持ちを落ち着かせたいときは噛みたい欲求が高まることがあります。
代わりに噛んでよい木の枝やおもちゃなどを置いておいてあげるといいですよ。

犬の優れた五感や感覚に配慮する
人工的なニオイを減らす
人間の生活圏には、人工的に作られたニオイのするものがたくさんあり、人間でも香害として問題になっているほどです。
ニオイの種類にもよりますが、犬の嗅覚は人間の1億倍まで感知できるといいます。
そんな犬にとって、自然界にはない人工的なニオイは強い刺激になってしまいます。
香水やルームフレグランス、アロマなどを使用しないのはもちろんのこと、洗剤や柔軟剤、シャンプー類など無香料を選び、成分も配慮すると安心です。
音や光の刺激を減らす
犬は聴覚も大変優れています。
テレビや音楽の音量が大きい家庭では、犬にとって常に騒がしい環境となります。
テレビは必要なときだけにして、音量を下げたり、字幕やイヤホンを使用したりすることで刺激を減らせます。
また、家電製品の電子音や時計の音なども、犬が嫌がっていないか観察してみましょう。
照明についても、必要以上に明るい部屋より、落ち着いた暖色系の柔らかい光の方が、犬も人もリラックスしやすいでしょう。
犬に合わせて室温を調整する
犬種によって暑さ寒さへの強さは異なりますし、同じ犬種でも個体差があります。
- 口を横にひらいてハァハァしている
- 水を頻繁に飲んでいる
- ブルブルと震えている
- 体を丸めて縮こまって寝ている
こんな様子がないかチェックして、室温を調整しましょう。
高齢になったり病気をしたりすると、それまでより暑さ寒さに弱くなることなどもあります。
「今までと同じだから大丈夫」と思わず、日々の変化をよく観察して見逃さないことも大切です。
自由に行動できる環境をつくる
室内を自由に移動できるようにする
「キッチンは禁止」「寝室は禁止」と、家の中で行けない場所をつくっていませんか?
犬は興味がある場所へ行けない状態が続くと、かえって気になってしまいストレスになります。
もちろん、危険なものを片づけたり、階段に滑り止めをつけたりするなど、安全対策は必要です。
そのうえで、人のそばにいたいときは一緒にいて、一人で過ごしたいときは好きな場所に行けるような環境を目指しましょう。
庭へ出られる環境があればさらに理想的
庭があるなら、犬が望んだ時に外に出られる環境があると、気分転換や排泄もしやすくなります。
ただし、人や車が頻繁に見える環境では、吠え続ける原因になってしまいます。
目隠しフェンスや植栽などで落ち着ける空間をつくると安心です。
庭がなくても、ベランダに出て風を感じられるだけでもよい気分転換になりますよ。

「犬目線で快適かどうか」を基準に考えよう
室内環境を整えるときは、「人間にとって都合がよいか」ではなく、「犬にとって快適かどうか」を基準に考えることが大切です。
犬は言葉で「ここが嫌だ」と伝えることはできませんが、表情や行動にはたくさんのサインが表れます。
落ち着いて眠れているか、リラックスして過ごせているか、安心して家の中を歩いているか。
そんな日々の様子をよく観察しながら、その犬にとって心地よい環境を少しずつ整えていきましょう。

