犬との散歩は、本来お互いが心地よい時間であるはずです。
ところが実際には、「リードを強く引っ張る」「他の犬へ突進する」など、散歩に悩んでいる方も少なくありません。
そんなとき、「ツケを教えよう」「リードを短く持とう」と考えがちですが、まず知っておきたいのは犬がリードを引っ張るのには理由があるということです。
この記事では、犬がリードを引っ張る原因と、犬も人も快適に散歩を楽しむための考え方をご紹介します。
犬はどうしてリードを引っ張るの?
犬がリードを引っ張る理由は一つではありません。
私たちが相談を受ける中でも、特に多い原因は次の3つです。
興奮しすぎて自分をコントロールできなくなっている
散歩が始まった瞬間から勢いよく飛び出したり、他の犬や人を見ると突進したりする犬は少なくありません。
これは、犬が興奮しすぎており、自分でも行動を抑えられなくなっている状態です。
興奮している状態では冷静な判断ができません。
人間でも、頭に血が上ると普段ならしないような行動をしてしまうのと同じです。
興奮した状態で叱ったりトレーニングしたりしても、さらに興奮を強めてしまいます。
まずは、犬が落ち着いて歩ける環境を整えてあげることが大切です。
「引っ張って歩くもの」だと学習している
散歩中、犬が前へ行こうとしてリードを引っ張り、人は引っ張り返す。
このやり取りを毎日繰り返していると、犬は「散歩とはリードを張ったまま歩くもの」と学習してしまいます。
また、犬を人間に従わせようとコントロールしようとすればするほど、犬は反発してさらに引っ張り習慣化していきます。
リードは犬を引っ張るための道具ではなく、安全を確保するための道具です。
犬と引っ張り合う時間が長くなるほど、お互いに力が入り、ゆったり歩くことが難しくなってしまいます。
におい嗅ぎを十分にできていない
犬にとって散歩は、地面や草むらのにおいを嗅ぎ、その場所をどんな犬が通ったのか、どんな出来事があったのか、という情報を集める大切な時間です。
ところが、「止まらないで」「前へ進んで」と急かされたり、ツケで歩くことを求められたりすると、この情報収集が十分にできません。
するとフラストレーションがたまり、その結果としてリードを引っ張ったり、突進したりするようになります。
においを嗅ぐことは、犬にとって大切な楽しみであり、気持ちを落ち着かせる行動でもあるのです。
散歩では、できるだけ自由ににおいを嗅げる時間をつくってあげましょう。
犬にとって「良い散歩」とは?
散歩は、人間の運動ではなく、犬のための時間です。
犬が快適に感じる散歩とは、
- 安全であること
- 怖いものが少ないこと
- 人から細かく指示されないこと
- 自分のペースで歩き、においを嗅げること
こうした条件がそろった散歩です。
反対に、「早く歩いて」「止まらないで」「ツケ」と指示を受けながら歩く散歩では、犬はリラックスすることができません。
私たちも、誰かに急かされながら散歩をしても楽しくないですよね。
犬も同じです。
犬が安心して歩ける場所を選び、ゆったりした気持ちで散歩を楽しめるようにしてあげましょう。
散歩の本当の目的については、以下の記事でご紹介しています。

引っ張りを改善するには原因を見直そう
犬のリードの引っ張りを改善したいとき、多くの方は歩き方やしつけの方法から考えます。
しかし、まず大切なのは、犬がなぜ引っ張っているのかを考えることです。
- 興奮しているのか
- 散歩中にストレスを感じているのか
- におい嗅ぎが足りていないのか
- 歩く場所が不快なのか
原因が分かれば、犬に合った対応が見えてきます。
また、犬具やリードの長さ、持ち方などを見直すだけでも、散歩がぐっと快適になることがあります。
リードやハーネスの選び方、ロングリードの使い方については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

犬が落ち着いて歩ける散歩を目指そう
リードを引っ張る行動は、「言うことを聞かない犬だから」ではありません。
その背景には、興奮やストレス、散歩の環境など、さまざまな理由があります。
引っ張る行動だけを止めようとするのではなく、「この子は何を伝えようとしているのだろう」と考えてみてください。
犬が安心して歩ける環境を整え、お互いに気持ちよく散歩を楽しめるようになることが、引っ張りの改善への近道です。


