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  • 社会性を育てたい?他の犬と触れ合うときの注意

    社会性を育てたい?他の犬と触れ合うときの注意

    他の犬と仲良くさせたいと思う人は多いでしょう。

     

     

    しかし、ここで不用意なことをしてしまうと、逆に他犬が苦手になってしまいます。そうならないためにはどうしたらいいか、それを説明します。

     

     

    感受期の過ごし方が大事

    犬は社会性が高い動物です。犬の特徴は、同属だけでなく、人間をはじめ異種の動物とも仲間になれるというところにあります。社会性が高い動物にとっては、仲間と交流することは社会的欲求であり、生きていく上で不可欠なものです。同居人たちもそのことに気づいているからこそ、自分の犬を他の犬と仲良くさせようとするのでしょう。

     

     

    ですが、ここで気をつけなければならないことがあります。犬は他の犬との交流の仕方を、生まれながらに身に着けているわけではありません。生後3週齢から12週齢にかけての社会化の感受期と呼ばれる時期に、他の犬や人間なども含めた外界との付き合い方を集中的に学ぶのです。この大事な時期を、外界から隔絶された場所で過ごしてしまうと、学習することが非常に難しくなってしまいます。

     

     

    ペットショップ犬特有の問題

    日本の場合、ペットショップから犬を買ってくる人が大多数を占めます。ショップの犬は、生後4~5週齢前後で親兄弟から離されたのち、流通ルートに乗せられ、ショーケースに展示され、買われていきます。

     

     

    ですが、すぐに散歩を始める犬はまれです。ワクチンプログラムが完了する12~16週齢までは、外に出さないようにということが一般的に言われているので、室内に閉じ込めておく人がほとんどです。その結果、社会化の感受期に他の犬と触れ合う機会がないままに成長してしまうのです。

     

     

    そういう犬たちは、ワクチンプログラムがすむまで、刺激が少なすぎる環境におかれるため、外界と付き合うスキルを発達させることができません。いきなり外に連れて行かれても、はじめて見たり聞いたりするものだらけで、おびえてしまうのは当然です。ところが同居人は、さあ散歩だ、他の犬に慣らそう、などと意気込んで、どんどん強い刺激にさらします。すると犬はさらに恐怖に駆られます。

     

     

    こうして、外嫌い、他の犬嫌いになってしまうのです。もちろん、すぐに適応する犬もいます。ですが、散歩自体が嫌いになってしまう犬も非常に多いのです。

     

     

    まずは準備から

    そういう場合、無理強いは禁物です。まずは犬が対処できないほどの刺激にさらさないように、人や犬や車などが少ない、静かで安全な場所まで直接連れて行って、リラックスするところから始めます。環境に慣らすのが先なので、この段階では他の犬には会わせないようにします。もし近づいてくる人がいたら、近づかないでくれるようにお願いします。

     

     

    外にいてもビクビクせずにリラックスして、地面のにおいを嗅いだり草を食べたりなどすることができるようになったら、他の犬と交流する準備ができたということです。それまでは、他の犬には近づけないようにしましょう。

     

     

    怖がっている状態で他の犬と会っても上手に対処できませんし、怖さから攻撃的な態度に出てしまうことがあります。すると、他の犬は怖いものと関連付けてしまって、犬嫌いが悪化してしまいます。一度強く関連付けられたものを変えていくのは、とても時間がかかることです。ですので、よくない関連付けをしないように気をつけることが、非常に重要なのです。

     

     

    他の犬がすっかり嫌いになってはいない状態であれば、犬は穏やかな犬には自分からそっと近づいていくようになります。人間が犬に近づけるのではなく、犬が自分から相手に近づいていくのを待っていてあげるというのが、もっとも無理がかからないやり方です。消極的なように見えますが、これがもっとも確実で失敗が少ないやり方です。

     

     

    しっかりサポートしよう

    他の犬に近づく際には、しっかりサポートしてあげることが重要です。この時点で、犬自身はまだ他の犬との付き合い方がわかっていませんし、相手の性格を見極めるスキルもありませんから、人間が手伝う必要があるのです。子犬のころに散歩していて他の犬に噛まれたために、犬が苦手になってしまったという話もよく聞きます。そうなることは避けないといけません。

     

     

    そのためには、相手の犬と人間の様子をよく観察することが重要です。人間が犬を乱暴に扱っている場合は、犬の攻撃性が高まっていますから近寄らないようにしましょう。チョークチェーン(首が絞まる金属製の鎖)をつけている犬も、首の痛みからいきなり攻撃してくることがあるので、確実に避けてください。犬も人間もゆっくり歩いていて、やさしく穏やかに接している人間の犬は、おだやかで行儀がいいことがほとんどです。そういう犬には近づいても大丈夫です。

     

     

    他の犬に接近しているときは、リードがピンと張らないように、十分にたるませておいて、怖くなったらいつでも自分で逃げられるようにしておきます。そのためには、短いリードではなく、3メートル以上の長いリードを使いましょう。自動巻き取り式のリードは危険なのでやめましょう。そして、首輪で首を絞めないように、体に優しいハーネスを使用します。

     

     

    他の犬にガウガウいう場合

    他の犬を見たとたんにガウガウ言う、突進しようとする、吠える、相手を凝視する、などの行動が見られる場合は、他の犬が苦手になっているということです。また、よろこんで突進しようとする場合も、犬との上手な付き合い方を学んでいないということです。こういう犬には近づけないようにしましょう。

     

     

    自分の犬がこのような行動をするのであれば、犬との付き合い方を学習しなおしてもらう必要があるということです。先に述べた社会化の機会を逸した犬と同じように、他の犬を避けるところからはじめましょう。自分の犬がうまく挨拶できているかどうかわからないという場合は、次の動画をご覧ください。

     

     

    上手な挨拶とは

    https://youtu.be/fabhkZQDtHk

     

    これが上手な挨拶です。手前の犬は、挨拶しようとしてうれしそうに近づいていきます。尻尾の位置が右側にあるので、肯定的な気持ちになっていることがわかります。奥の犬は顔を横に向けて、フリーズしています。これは敵意がないということと、もう少し落ち着いてほしいということを相手に伝える犬のボディランゲージ(カーミングシグナル)です。

     

     

    そのシグナルに対し、手前の犬は歩く速度を落としていっていったん止まり、自分も顔を横に向け、一度仕切りなおしの撤退をしています。これらはすべて、相手を安心させるためのボディランゲージです。そして少し距離をとって、そこからまたシグナルを出して相手を安心させた後、ゆっくりと近づいていきます。

     

     

    すると奥の犬も、尻尾を軽く振りながら、友好的に迎え入れて、挨拶の交換が始まります。お互いに軽くにおいを嗅いだら、すぐに別れていきます。よく社会化された成犬は、他の犬とこのように交流します。

     

     

    こうした挨拶ができない場合は、犬の挨拶マナーを学習していないか、誤学習してしまっています。次の動画をご覧ください。

     

     

    よくない挨拶とは

    https://www.youtube.com/watch?v=z18_TAYooHo

     

    これは犬の挨拶マナーを学習していないか、間違った学習をしてしまった例です。他の犬をしつこく追いかけたり、飛びついたりしています。多くの犬が集まって走り回るドッグランでは、こうしたことが起こりがちです。

     

     

    他の犬に追い回されるなどして嫌な思いをすることで、犬が苦手になったり、あるいは逆にいじめられる前に先制攻撃を仕掛けるようになったりして行きます。ドッグランは、一般的に考えられているような、社会化を促進するものではなりません。

     

     

    それどころかむしろ、よくない経験によって他の犬嫌いにする場所です。他の犬と上手に交流できるようにするには、ドッグランに連れて行かないということが非常に重要です。

     

     

    回避を続けると挨拶上手に

    それよりも、静かにゆっくりと散歩をする中で、興奮した犬やストレスがかかった犬を避けるということを地道に続けましょう。

     

     

    そうしていると、穏やかな犬には挨拶するようになります。穏やかな犬は犬の挨拶も上手ですから、そこでいい犬マナーを学習することができます。最初の動画のように他の犬と交流できるようになると、社会的欲求が満たされて犬の生活の質が向上します。

     

     

    それを目指して、まずは回避するところからはじめましょう!

     

     

  • 犬が散歩から帰りたがらなくて困ってる…その理由と対処法

    犬が散歩から帰りたがらなくて困ってる…その理由と対処法

    家に帰るのを嫌がり、散歩に1時間以上かかっている…そんなお悩みを聞くことがあります。

     

     

    ここでは、どんな風に散歩を切り上げればいいか、長すぎる散歩の弊害、また、適切な散歩時間などについてふれていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

     

     

    ストレス度が高いと散歩が長くなる

    天気がよくない日や風が強い日は、散歩もそれほど楽しくないので、もし行ったとしても犬たちは自分で早めに切り上げるでしょう。逆に、よく晴れて気持ちがいい日には、あちこち寄り道したり、日なたぼっこしたりしながら、ゆっくり歩きます。

     

     

    こんな風にばらつきがあるのは当然ですので、その日の状態に合わせて、散歩に付き合ってあげましょう。

     

     

    ストレス度が高いときは、雨や風、低気圧など気候の影響で、イライラしたり、興奮したりしやすくなります。犬自身もまだ自分で行く行かないの判断ができないので、散歩に行って興奮状態になって、やたら長く歩きたがることがあります。

     

     

    その結果、ますます興奮し、帰宅後もそれが続き、ストレスがさらにかかるという悪循環に陥りやすくなるのです。

     

     

    ある程度興奮度が下がってきてからも、散歩が長すぎると、だんだん犬はイライラしてきます。なので、犬が自分で散歩時間を調整できないときにも、長くても1時間以内で収まるようにしたほうが、ストレスマネジメントには効果的です。

     

     

    よく、散歩から帰りたがらない犬はワガママといわれてしまうこともありますが、犬のストレス度が高いために、自分で調整したり判断したりできなくなっているだけなのです。

     

     

    そろそろ帰らない?と提案してみよう

    だからといって、何度も帰ろう帰ろうと声をかけたり、無理矢理リードを引っ張って連れて帰ったりはしないようにしましょう。

     

     

    では、どのようにするかというと、散歩を早めに切り上げるように、犬に「そろそろ帰ろうか?」と提案してみるのです。

     

     

    「今日はイライラモードだな」と思ったら、いつもの半分くらいのところで、交渉を開始するといいですよ。少し早めだと、「そうだね」と言ってもらえる可能性も上がります。

     

     

    犬が「まだ歩く!」と強く主張する場合は、譲歩して付き合い、少ししてから交渉してみましょう。

     

     

    ボディランゲージを使って「帰ろうか?」と誘ってみよう

    わたしは、たとえば犬がひとしきり草のにおいを嗅ぎおえ歩き出すときに、目線と体の向きを家に向かう方向に向けて、「帰らない?」と聞いています。誘うように一歩踏み出すとつられてついてきてくれます。

     

     

    この方法で、ほとんど聞いてもらえるので、タイミングやボディランゲージが関係しているのでしょう。

     

     

    これ以上歩くと興奮するから、どうしても帰った方がいいなというときには、リードをたぐって犬のそばまで近づいていって、至近距離から話しかけながら同じようにすると、かなりの確率で成功します。

     

     

    この時、犬に覆いかぶさるように立ったり、真正面から立ったりしないように気をつけましょう。犬に威圧感を与え、怖がらせてしまいます。

     

     

    焦らずゆっくりかまえていましょう

    あまり時間にとらわれすぎると、その焦りが犬に伝わって逆効果なので、「もっと落ち着いたら交渉もうまく行くようになるさ」と楽天的に考えましょう。

     

     

    犬が落ち着いてくれば、風がひどい日はすぐに帰るとか、雨の日は行かないなど、自分で調整するようになってきます。そのうちに、騒々しい音が聞こえたら進路を変えるとか、前方に犬が見えたらいなくなるまで待つなど、自分で対処することもできるようになります。

     

     

    だんだんそうなってくるので、最初のうちは早めに提案をするよう、心がけてみましょう。

     

     

  • かわいいからOK?実は注意が必要な後追い行動

    かわいいからOK?実は注意が必要な後追い行動

    後追い行動とは

    犬が自分の後を付いてきてくれるのはうれしいものです。「そんなにわたしのことが好きなの?」といとおしい気持ちになります。

     

     

    ですが、いままで寝そべっていたのに、水を飲もうと立ち上がっただけでガバッと起き上がり、「どこ行くの?」とばかりに付いて来る、トイレの中まで入ってくる、お風呂に入っているとドアの前で待っている、出かけようとすると不安そうに吠えるなどとなると、ちょっと心配になります。

     

     

    同居人の後を付いてくるという行動(後追い行動)それ自体は、どんな犬にも見られます。これは犬が家畜化されて、人間といっしょに暮らす中で獲得していった習性といえるでしょう。その意味では通常の行動です。

     

     

    半世紀ほど前、犬の放し飼いが普通だったころには、犬たちは当然のようにリードなしで散歩に行っていました。トレーニングなどする人はほとんどいなかったにもかかわらず、犬たちはちゃんと同居人といっしょに散歩をしていました。同居人が出かければ、その後を追って付いてきます。

     

     

    実はこんな問題が

    こうした後追い行動をするのは普通のことですが、寝ていても同居人の動きにつられて起きてくるとか、いつでも、どこにでも付いてくるというのは、通常の行動とはいえません。常に同居人の後を付いてまわっていると、ゆっくり寝ていることができずに睡眠不足になりますし、疲れてしまいます。

     

     

    過度の後追い行動は、犬がひとりでいられないということを意味します。なぜひとりでいられないかというと、ひとりでいると不安で、いても立ってもいられなくなるからです。不安のあまり、同居人から離れられなくなっているのです。後追い行動は、その分離ストレス行動のひとつなのです。

     

     

    なぜ後追いをしてしまうの?

    分離ストレス行動の原因は不安にあります。人間でも、なにか怖い思いをした後には、不安になることがあります。怖いテレビ番組や映画などを見た後に、子どもがひとりでトイレに行けなくなったり、親といっしょに寝てもらいたがったりするなどということがよくありますが、犬も同じように、怖いことを体験することで不安になり、人のそばにいようとするということがあります。これは一時的なものなので、しばらくして落ち着いたらやらなくなるでしょう。

     

     

    新しく迎えたばかりの犬は、環境の変化によって不安になりますから、後追い行動をすることがよくあります。とくにペットショップやブリーダーから迎えた子犬は、本来なら親兄弟といっしょにいる時期に人間の手によって引き離されて、まったく知らない場所に連れて来られる訳ですから、恐怖や不安から後追いをするのは当然のことです。

     

     

    そんなときに、ケージなどに閉じ込めたりすると、不安がよりいっそう大きくなり、後追い行動が悪化してしまいますので気をつけましょう。

     

     

    不安の原因

    一時的な恐怖や環境の変化などがなくても、常に不安を抱えている犬には、日常的な後追い行動が見られます。後追い行動にお悩みの方のほとんどが、このケースだと思われます。冒頭で述べたような、トイレやお風呂の中まで付いてくる場合は、なんらかの不安を抱えていると考えたほうがいいでしょう。

     

     

    不安の原因といっても、とくに心当たりはないという方がほとんどだと思います。ですが、同居人が「これぐらい大丈夫」と思うようなことでも、犬にとってはとても怖かったり、嫌だったりすることがたくさんあります。以下に、不安の原因となることをピックアップしてみましょう。

     

     

    •  ・ ケージに入れられること
    •  ・ 叱られたり、怒鳴られたりすること
    •  ・ 大きな音でびっくりさせられること(天罰方式のしつけ)
    •  ・ 人間の命令に従わせるトレーニング
    •  ・ 1日に6時間を越えるような長い留守番
    •  ・ 同居人の過干渉

     

     

    こんなふうに対処しよう

    ケージに入れたり、叱ったり、天罰を使ったり、命令に従わせたりというようなことは、一般的なドッグトレーニングでよく行われています。ところがそれがかえって犬にストレスをかけ、不安を悪化させてしまうのです。ケージに入れたり、叱ったり、命令に従わせたりしなくても、犬は人間のライフスタイルに適応して問題なく暮らすことができます。

     

     

    犬に過度の後追い行動が見られたら、不安の原因を取り除きましょう。

     

    • ・ケージは撤去するか、ドアを取ってしまう
    • ・大きな声や怖い声を出さず、常に犬に穏やかに接する
    • ・ダメ、ノーなどと否定的せず、肯定的・受容的な態度で接する
    • ・オスワリ、マテなどのコマンドは出さず、犬が自分で考えて行動するのを待つ

     

     

    犬の名前を何度も呼んだり、「いい子」を連発したりする代わりに、犬の言葉(ボディランゲージ)であるカーミングシグナルで会話します。犬と目が合ったときに、パチパチとまばたきしてから目をそらしてみてください。これは、「あなたに好意を持っています」というシグナルです。目が合うたびにかならずこのシグナルを出していると、犬はとても安心します。

     

     

    反対に、犬の目をじっと見たり、犬のほうにまっすぐ向かって歩いたり、手を大きく振り上げたり、頭の上から手を伸ばしたりするのは、犬を不安にさせてしまいますので、うっかりやらないように気をつけましょう。かまいすぎはよくありませんが、長時間留守番させるのもまたよくありません。可能な限り留守番は少なくして、家で静かに過ごすようにしましょう。

     

     

    犬が後追いをしてきたときに、付いて来られないようにしてしまうと、犬はさらに不安になります。トイレやお風呂に入ってこようとしたときには、閉め出したりせずにドアを少し開けて中が見えるようにするか、あるいは中に入れてあげてしまってもいいでしょう。同居人の姿が見えれば、犬は安心します。夜もいっしょに寝てあげましょう。夜一人ぼっちで寝るのは、社会性が高い犬にとってはつらいものです。

     

     

    犬の自立を促すためにひとりでいる時間を作ろうと考える方がいるかもしれませんが、不安を抱えている状態では逆効果になります。付いてくる犬をわざと無視するというのも同様です。犬の不安な気持ちを受け止めて、寄り添ってあげることが犬を安心させ、いい結果を生みます。

     

     

    イライラしたり、腹を立てたりするのではなく、犬のネガティブな感情を受け入れてあげましょう。人間自身も、つまらないことでつらくなったり不安になったりするものです。そんなときに誰かに話を聞いてもらうと、気持ちが軽くなるものです。犬の言葉に相槌を打つような気持ちでそばにいてあげましょう。

     

     

    強い不安を感じていると思われるときには、少しの間、抱っこするとか、一緒に横になるなどして、リラックスした時間を過ごすといいです。犬をよく観察して、どのようにしたらより安心するか試行錯誤してみてください。同居人が犬の気持ちを知ろうとすること自体もまた犬を安心させます。

     

     

    後追い行動をなくすことのみに気を取られると、「ハウス」と命令して一時的にクレートに入れたり、叱り付けて犬が動かないようにしたりして、後追いが直ったと勘違いするようなことになりかねません。不安がなくならないかぎりは、直ったことにはならないということを覚えておきましょう。

     

     

    犬が安心して快適に暮らせるようにするということが同居人のつとめです。同居人にとって困った行動をなくすという考え方から、犬自身が困っている行動をいっしょに解決するという考え方に変えてみると、犬のQOLはずっと向上すると思います。

     

     

  • 犬にはシャンプーが必要?

    犬にはシャンプーが必要?

    犬にはシャンプーが必要。そう思っている方は多いと思います。

     

     

    外を歩けば汚れるし、においだってします。人間も毎日のように体を洗うのだから、犬だってそうしたい、そう考えるのも無理はありません。

     

     

    でも、実はシャンプーはまったく必要ないのです!ここではその理由をお伝えしていきます。

     

     

    人間と犬の体の違いを理解する

    犬の体と人間の体は、哺乳類として共通しているところもたくさんありますが、違うところもあります。まずはその相違を理解することが必要です。

     

     

    犬の被毛は高機能!

    犬の体の表面は、人間とは違ってしっかりした被毛に覆われています。この被毛が、汚れや怪我、乾燥や暑さ寒さなどから体を守ってくれるのです。被毛には適度な油分が含まれているので雨をはじき、泥汚れなどがついても、乾燥すればパラパラと落ちて、洗わなくてもピカピカになります。

     

     

    犬の被毛はとてもすばらしい機能を持っているのです。

     

     

    汚れについては、被毛がその役目をきちんと果たせるようにしてあげるということが大切です。界面活性剤を含むシャンプーを使って頻繁に洗うと、被毛や皮膚の油分を取りすぎてパサパサになるだけでなく、皮膚のバリア機能が損なわれることがあるので注意しましょう。

     

     

    犬の汗腺は肉球のみ

    では、においについてはどうでしょう。

     

     

    犬は汗をかかないということが昔よく言われていましたが、犬にも汗腺があって汗をかきます。汗腺には、エクリン腺とアクポクリン腺があります。人間の場合、全身にエクリン腺が分布していてそこから汗を出しますが、犬ではエクリン腺は肉球にしかありません。

     

     

    緊張したときには、はっきりわかるほど肉球が濡れます。アクポリン腺は皮脂腺とつながっており、それが毛穴につながっています。嫌なにおいは、皮脂腺、アクポリン腺からの分泌物が酸化したり、皮膚で細菌に分解されたりすることによって発生します。においのメカニズムは人間と同じです。

     

     

    犬はくさいもの?

    犬はみんな犬臭いと思っている方もいるかもしれませんが、実はそうではありません。

     

     

    人間と同じように犬の体臭もストレスと密接に関係しています。

     

     

    ストレスがかかると、アドレナリンや男性ホルモンが分泌されます。それが皮脂の分泌量を増加させます。また、ストレスで分泌される副腎皮質ホルモンは、分泌、分解される際に活性酸素を発生させます。それが皮脂を酸化させ、においの元となるのです。

     

     

    犬を動物病院の診察台の上に乗せると、ぷーんと鼻を突くようなにおいがすることがあります。強いストレスがかかったときには、このように一時的に体臭がきつくなります。日常的にストレスにさらされている場合には常ににおいを感じることでしょう。

     

     

    そのにおいを取るためにシャンプーをしたらいいと思われるかもしれません。ですが、ストレスがかかっている犬にシャンプーをすると、それがさらなるストレスとなって匂いを発生させるという悪循環に陥ります。

     

     

    POINT犬が臭いと感じたら、シャンプーするよりも、ストレスの原因を減らすようにしたほうがずっと効果的です。

     

    家に迎えて間もない子犬は、環境が大きく変わったことによって不安でいっぱいです。動物保護団体などから引き取った犬も同じです。環境の変化によるストレスで、体臭がきつくなっていることもあるでしょうが、シャンプーはしないであげてください。

     

     

    洗うことでさらなるストレスをかけるのは、犬に負担をかけるだけでなく、におい対策にもなりません。構いすぎたり気にしすぎたりせずに、なるべくそっとしておいてあげましょう。

     

     

    よごれがひどい場合

    全体的にひどく汚れている場合には、少し環境に慣れてきて、自分から家族に寄っていくようになった時点で拭いてあげます。それまでは我慢しましょう。

     

     

    犬がリラックスしているときに、お湯に濡らして固く絞ったタオルでそっと拭くようにするといいです。被毛の汚れを取るにはこれで十分です。部分的にひどい汚れがついている場合には、汚れている箇所に泡立てた石鹸をつけて、タオルを当ててふき取るというのを何度か繰り返すときれいになります。

     

     

    POINTもし犬が嫌がるそぶりをみせたら、すぐに中止してください。無理にやるとタオルも人間も嫌いになってしまいます。

     

    基本的に健康でストレスが少ない犬は、洗ったり拭いたりなどはしなくても、清潔で臭いにおいなどありません。強いて言えば、天気のいい日にはお日様のにおいが、雨の日には雨のにおいがするぐらいでしょうか。

     

     

    わたしは犬猫の保護活動もしているので、ときどき保護犬猫を迎えますが、どの子もシャンプーしません。うちの犬猫たちは、ひどい皮膚病だった1頭を除いて、一度もシャンプーしたことがありません。

     

     

    でも散歩に連れて行くと、「洗うのが大変ですね」とか、「どこのシャンプーを使っているのですか」などとよく聞かれます。白い犬は、雨の後の泥んこ遊びが大好きで、茶色い犬になりますが、泥が乾けばみんな落ちて、真っ白な犬に戻ります。犬の被毛は高機能なのです。

     

     

    皮膚疾患がある場合

    以前うちで保護した犬は、皮膚疾患がひどかったため、治療方針を獣医師と相談して、定期的に洗う必要がありました。皮膚トラブルがある犬の場合は、漫然とシャンプーするのではなく、獣医師とよく相談することが大切です。

     

     

    その犬は、脂漏症、マラセチア、アカラス症にかかっており、痒くて引っかいた箇所が化膿して大変な状態になっていました。

     

     

    そこで、皮膚に分厚く堆積した老廃物をオイルパックで溶かしてからノルバサン(薬用シャンプー)で洗いました。これを数回おこなった後は、シャンプー頻度を減らしていき、数ヵ月後には週に1回程度お風呂に浸かってもらうだけにしました。

     

     

    半年ほどで症状は消え、脂漏症も数年後には完治しました。それ以来、お風呂には入れていません。

     

     

    POINT皮膚疾患がある場合は、シャンプーの仕方、頻度、シャンプー剤の選び方なども含めて、獣医師との相談の上、慎重におこなってください。方針に納得がいかない場合は、セカンドオピニオン、サードオピニオンを聞いてみることも重要です。

     

    皮膚疾患の際の洗い方

    次に、皮膚疾患でシャンプーする場合のコツについて説明します。

     

     

    シャンプーをするタイミング

    シャンプーは、犬の体調がよくて、天気のいい日中にするようにします。

     

     

    天気が悪い日は乾きもよくないですし、低気圧の影響で精神的に不安定になっていることもあるからです。

     

     

    シャンプーするための事前準備

    お風呂から上がったときにすぐに拭けるように、タオル類は浴室の入り口に置き、よく室内にはすべらないようにマットなどを敷いておきます。

     

     

    準備ができたら、犬に「お風呂に入ろうか」と声をかけます。黙って連れて行くのではなく、最初にお伺いを立てましょう。

     

     

    もしそこで嫌がったら、また別の日に延期します。無理にやると、お風呂嫌いが悪化しますので、いったん引き上げることが肝心です。嫌がらない状態でスタートするようにしましょう。

     

     

    シャワーは優しく短時間で

    いきなりシャワーを勢いよくかけると犬が驚いてしまいます。

     

     

    出だしは洗面器かバケツなどにお湯を入れて、手やひしゃくなどでそっと体にかけます。様子を見ながら少しずつかけるとあまり嫌がりません。顔はとくに慎重にして、手でそっと濡らすぐらいの方がいいです。嫌がるようなら省略します。

     

     

    犬がお湯に慣れてきたらシャワーに切り替えてもいいですが、ずっとひしゃくでもかまいません。お湯の温度は35度から37度と言われていますが、犬によっても違います。子犬や小型犬は体が冷えないように、とくに注意しましょう。

     

     

    シャンプーは泡立ててから手でそっともみ込んでいきます。原液をじかにつけたり、つけ過ぎたりするのは皮膚にダメージを与えます。くまなくきれいに洗うよりも、犬にストレスをかけないことを最優先してください。皮膚疾患も、ストレスで悪化します。

     

     

    時間は小型犬なら1分以内、大型犬でも5分以内で流し始めるようにしましょう。流すときもなるべくそっとします。体を押さえつけたりせずに、穏やかにやさしく声をかけながら、ゆっくりした動作で丁寧に洗い流してください。

     

     

    動くからといって叱ったり、イライラして乱暴に扱ったりすると、シャンプーが大嫌いになってしまいます。治療の一環で、やらなければならないことですから、自分自身もリラックスして、ゆったりとした楽しい気分でおこないましょう。

     

     

    流し終わると犬は体をブルブルして自分で水分を飛ばします。そうしたらすぐにバスタオルで包みます。押さえるようにして水気を吸収させるといいです。ゴシゴシこすると不快感を与えますから、乾いた部分で押さえるだけでいいです。

     

     

    乾いたらなるべく体から離してドライヤーをかけます。顔にかけると嫌がりますから、顔は手でガードします。ドライヤーは音が静かなものを選ぶようにしましょう。一箇所に当てすぎるとやけどをしますから、ゆっくり動かしながら、犬が嫌がっていないかどうかに常に気を配りましょう。

     

     

    まとめ

    シャンプーは、健康な犬には必要ありません。

     

     

    皮膚疾患がある場合にのみ、獣医師との相談の上、犬に不快な思いをさせないように気をつけながら、必要最小限の範囲で行いましょう。

     

     

  • 犬との遊び方 ~運動を兼ねた激しい遊びが必要?~

    犬との遊び方 ~運動を兼ねた激しい遊びが必要?~

    犬と遊ぶというと、どんなことを思い浮かべますか?

     

     

    ボールやディスクなどを投げて持ってこさせたり、追いかけっこしたりなどでしょうか。運動にもなるし、楽しそうに走り回っているから、そういった遊びが必要と思っている方が多いかもしれません。

     

     

    でも、写真を撮ってみると、口の端っこに皺を寄せ、きつい目をしていませんか?これをストレススマイルと呼んでいます。実は、犬は興奮しているのであって、楽しんでいるわけではないのです。

     

     

    ボール投げや追いかけっこは、人間が主導でおこないます。犬は付き合いがいいので、人間の誘いに乗ってくれますが、必ずしも犬が望んでいることではないかもしれません。

     

     

    ラブラドールやセッターなどの猟犬や、ボーダーコリーなど、一般的に運動が必要と考えられている犬も、人間がわざわざ走るように仕向けなければ走らないのです。

     

     

    あえて走って運動させないからといって、筋力が衰えたり、ストレスがたまったりはしません。むしろ走らせすぎると足腰を痛めますし、老化を早めることにもつながるのです。

     

     

    では、犬は本来、どういう遊びをするのでしょうか。犬は、人間があれこれさせようとしなくても、自分で遊びを考えられますし、バリエーションもとても豊富なのです。

     

     

    水の中に口を突っ込んで、息を吐いてぶくぶく泡を出したり、藻の類を引きずりまわしたり、穴を掘ったり、狩りの真似をしたり、おいしそうなドングリやいいにおいのする骨などを探したり、噛み心地のいい枝を持ち帰ったり…。

     

     

    人間が同じようにするのはちょっと難しい事もありますが、自分もいっしょに穴を掘ってみたり、犬が好きそうな物を探したりすると、いっしょに楽しめます。

     

     

    人間好みの遊びを押し付けるのではなく、犬好みの遊びに参加させてもらうようにすると、犬も喜びます。それに、わたしたちも、犬の世界を教えてもらえて楽しいですよ。

     

     

    今度、犬がどんな遊びをしているか、庭にいるときや散歩のときに観察してみてください。