社会性を育てたい?他の犬と触れ合うときの注意

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他の犬と仲良くさせたいと思う人は多いでしょう。

 

 

しかし、ここで不用意なことをしてしまうと、逆に他犬が苦手になってしまいます。そうならないためにはどうしたらいいか、それを説明します。

 

 

感受期の過ごし方が大事

犬は社会性が高い動物です。犬の特徴は、同属だけでなく、人間をはじめ異種の動物とも仲間になれるというところにあります。社会性が高い動物にとっては、仲間と交流することは社会的欲求であり、生きていく上で不可欠なものです。同居人たちもそのことに気づいているからこそ、自分の犬を他の犬と仲良くさせようとするのでしょう。

 

 

ですが、ここで気をつけなければならないことがあります。犬は他の犬との交流の仕方を、生まれながらに身に着けているわけではありません。生後3週齢から12週齢にかけての社会化の感受期と呼ばれる時期に、他の犬や人間なども含めた外界との付き合い方を集中的に学ぶのです。この大事な時期を、外界から隔絶された場所で過ごしてしまうと、学習することが非常に難しくなってしまいます。

 

 

ペットショップ犬特有の問題

日本の場合、ペットショップから犬を買ってくる人が大多数を占めます。ショップの犬は、生後4~5週齢前後で親兄弟から離されたのち、流通ルートに乗せられ、ショーケースに展示され、買われていきます。

 

 

ですが、すぐに散歩を始める犬はまれです。ワクチンプログラムが完了する12~16週齢までは、外に出さないようにということが一般的に言われているので、室内に閉じ込めておく人がほとんどです。その結果、社会化の感受期に他の犬と触れ合う機会がないままに成長してしまうのです。

 

 

そういう犬たちは、ワクチンプログラムがすむまで、刺激が少なすぎる環境におかれるため、外界と付き合うスキルを発達させることができません。いきなり外に連れて行かれても、はじめて見たり聞いたりするものだらけで、おびえてしまうのは当然です。ところが同居人は、さあ散歩だ、他の犬に慣らそう、などと意気込んで、どんどん強い刺激にさらします。すると犬はさらに恐怖に駆られます。

 

 

こうして、外嫌い、他の犬嫌いになってしまうのです。もちろん、すぐに適応する犬もいます。ですが、散歩自体が嫌いになってしまう犬も非常に多いのです。

 

 

まずは準備から

そういう場合、無理強いは禁物です。まずは犬が対処できないほどの刺激にさらさないように、人や犬や車などが少ない、静かで安全な場所まで直接連れて行って、リラックスするところから始めます。環境に慣らすのが先なので、この段階では他の犬には会わせないようにします。もし近づいてくる人がいたら、近づかないでくれるようにお願いします。

 

 

外にいてもビクビクせずにリラックスして、地面のにおいを嗅いだり草を食べたりなどすることができるようになったら、他の犬と交流する準備ができたということです。それまでは、他の犬には近づけないようにしましょう。

 

 

怖がっている状態で他の犬と会っても上手に対処できませんし、怖さから攻撃的な態度に出てしまうことがあります。すると、他の犬は怖いものと関連付けてしまって、犬嫌いが悪化してしまいます。一度強く関連付けられたものを変えていくのは、とても時間がかかることです。ですので、よくない関連付けをしないように気をつけることが、非常に重要なのです。

 

 

他の犬がすっかり嫌いになってはいない状態であれば、犬は穏やかな犬には自分からそっと近づいていくようになります。人間が犬に近づけるのではなく、犬が自分から相手に近づいていくのを待っていてあげるというのが、もっとも無理がかからないやり方です。消極的なように見えますが、これがもっとも確実で失敗が少ないやり方です。

 

 

しっかりサポートしよう

他の犬に近づく際には、しっかりサポートしてあげることが重要です。この時点で、犬自身はまだ他の犬との付き合い方がわかっていませんし、相手の性格を見極めるスキルもありませんから、人間が手伝う必要があるのです。子犬のころに散歩していて他の犬に噛まれたために、犬が苦手になってしまったという話もよく聞きます。そうなることは避けないといけません。

 

 

そのためには、相手の犬と人間の様子をよく観察することが重要です。人間が犬を乱暴に扱っている場合は、犬の攻撃性が高まっていますから近寄らないようにしましょう。チョークチェーン(首が絞まる金属製の鎖)をつけている犬も、首の痛みからいきなり攻撃してくることがあるので、確実に避けてください。犬も人間もゆっくり歩いていて、やさしく穏やかに接している人間の犬は、おだやかで行儀がいいことがほとんどです。そういう犬には近づいても大丈夫です。

 

 

他の犬に接近しているときは、リードがピンと張らないように、十分にたるませておいて、怖くなったらいつでも自分で逃げられるようにしておきます。そのためには、短いリードではなく、3メートル以上の長いリードを使いましょう。自動巻き取り式のリードは危険なのでやめましょう。そして、首輪で首を絞めないように、体に優しいハーネスを使用します。

 

 

他の犬にガウガウいう場合

他の犬を見たとたんにガウガウ言う、突進しようとする、吠える、相手を凝視する、などの行動が見られる場合は、他の犬が苦手になっているということです。また、よろこんで突進しようとする場合も、犬との上手な付き合い方を学んでいないということです。こういう犬には近づけないようにしましょう。

 

 

自分の犬がこのような行動をするのであれば、犬との付き合い方を学習しなおしてもらう必要があるということです。先に述べた社会化の機会を逸した犬と同じように、他の犬を避けるところからはじめましょう。自分の犬がうまく挨拶できているかどうかわからないという場合は、次の動画をご覧ください。

 

 

上手な挨拶とは

https://youtu.be/fabhkZQDtHk

 

これが上手な挨拶です。手前の犬は、挨拶しようとしてうれしそうに近づいていきます。尻尾の位置が右側にあるので、肯定的な気持ちになっていることがわかります。奥の犬は顔を横に向けて、フリーズしています。これは敵意がないということと、もう少し落ち着いてほしいということを相手に伝える犬のボディランゲージ(カーミングシグナル)です。

 

 

そのシグナルに対し、手前の犬は歩く速度を落としていっていったん止まり、自分も顔を横に向け、一度仕切りなおしの撤退をしています。これらはすべて、相手を安心させるためのボディランゲージです。そして少し距離をとって、そこからまたシグナルを出して相手を安心させた後、ゆっくりと近づいていきます。

 

 

すると奥の犬も、尻尾を軽く振りながら、友好的に迎え入れて、挨拶の交換が始まります。お互いに軽くにおいを嗅いだら、すぐに別れていきます。よく社会化された成犬は、他の犬とこのように交流します。

 

 

こうした挨拶ができない場合は、犬の挨拶マナーを学習していないか、誤学習してしまっています。次の動画をご覧ください。

 

 

よくない挨拶とは

https://www.youtube.com/watch?v=z18_TAYooHo

 

これは犬の挨拶マナーを学習していないか、間違った学習をしてしまった例です。他の犬をしつこく追いかけたり、飛びついたりしています。多くの犬が集まって走り回るドッグランでは、こうしたことが起こりがちです。

 

 

他の犬に追い回されるなどして嫌な思いをすることで、犬が苦手になったり、あるいは逆にいじめられる前に先制攻撃を仕掛けるようになったりして行きます。ドッグランは、一般的に考えられているような、社会化を促進するものではなりません。

 

 

それどころかむしろ、よくない経験によって他の犬嫌いにする場所です。他の犬と上手に交流できるようにするには、ドッグランに連れて行かないということが非常に重要です。

 

 

回避を続けると挨拶上手に

それよりも、静かにゆっくりと散歩をする中で、興奮した犬やストレスがかかった犬を避けるということを地道に続けましょう。

 

 

そうしていると、穏やかな犬には挨拶するようになります。穏やかな犬は犬の挨拶も上手ですから、そこでいい犬マナーを学習することができます。最初の動画のように他の犬と交流できるようになると、社会的欲求が満たされて犬の生活の質が向上します。

 

 

それを目指して、まずは回避するところからはじめましょう!

 

 

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