犬にはシャンプーが必要?

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人間と犬の体の違いを理解する

犬にはシャンプーが必要。そう思っている方は多いと思います。

 

 

外を歩けば汚れるし、においだってします。人間も毎日のように体を洗うのだから、犬だってそうしたい、そう考えるのも無理はありません。ですが、犬の体と人間の体は、哺乳類として共通しているところもたくさんありますが、違うところもあります。まずはその相違を理解することが必要です。

 

 

犬の体の表面は、人間とは違ってしっかりした被毛に覆われています。この被毛が、汚れや怪我、乾燥や暑さ寒さなどから体を守ってくれるのです。被毛には適度な油分が含まれているので雨をはじき、泥汚れなどがついても、乾燥すればパラパラと落ちて、洗わなくてもピカピカになります。犬の被毛はとてもすばらしい機能を持っているのです。

 

 

汚れについては、被毛がその役目をきちんと果たせるようにしてあげるということが大切です。界面活性剤を含むシャンプーを使って頻繁に洗うと、被毛や皮膚の油分を取りすぎてパサパサになるだけでなく、皮膚のバリア機能が損なわれることがあるので注意しましょう。

 

 

では、においについてはどうでしょう。

 

 

犬は汗をかかないということが昔よく言われていましたが、犬にも汗腺があって汗をかきます。汗腺には、エクリン腺とアクポクリン腺があります。人間の場合、全身にエクリン腺が分布していてそこから汗を出しますが、犬ではエクリン腺は肉球にしかありません。

 

 

緊張したときには、はっきりわかるほど肉球が濡れます。アクポリン腺は皮脂腺とつながっており、それが毛穴につながっています。嫌なにおいは、皮脂腺、アクポリン腺からの分泌物が酸化したり、皮膚で細菌に分解されたりすることによって発生します。においのメカニズムは人間と同じです。

 

 

犬はくさいもの?

犬はみんな犬臭いと思っている方もいるかもしれませんが、実はそうではありません。

 

 

人間と同じように犬の体臭もストレスと密接に関係しています。ストレスがかかると、アドレナリンや男性ホルモンが分泌されます。それが皮脂の分泌量を増加させます。また、ストレスで分泌される副腎皮質ホルモンは、分泌、分解される際に活性酸素を発生させます。それが皮脂を酸化させ、においの元となるのです。

 

 

犬を動物病院の診察台の上に乗せると、ぷーんと鼻を突くようなにおいがすることがあります。強いストレスがかかったときには、このように一時的に体臭がきつくなります。日常的にストレスにさらされている場合には常ににおいを感じることでしょう。

 

 

そのにおいを取るためにシャンプーをしたらいいと思われるかもしれません。ですが、ストレスがかかっている犬にシャンプーをすると、それがさらなるストレスとなって匂いを発生させるという悪循環に陥ります。犬が臭いと感じたら、シャンプーするよりも、ストレスの原因を減らすようにしたほうがずっと効果的です。

 

 

家に迎えて間もない子犬は、環境が大きく変わったことによって不安でいっぱいです。動物保護団体などから引き取った犬も同じです。環境の変化によるストレスで、体臭がきつくなっていることもあるでしょうが、シャンプーはしないであげてください。洗うことでさらなるストレスをかけるのは、犬に負担をかけるだけでなく、におい対策にもなりません。構いすぎたり気にしすぎたりせずに、なるべくそっとしておいてあげましょう。

 

 

よごれがひどい場合

全体的にひどく汚れている場合には、少し環境に慣れてきて、自分から家族に寄っていくようになった時点で拭いてあげます。それまでは我慢しましょう。

 

 

犬がリラックスしているときに、お湯に濡らして固く絞ったタオルでそっと拭くようにするといいです。被毛の汚れを取るにはこれで十分です。部分的にひどい汚れがついている場合には、汚れている箇所に泡立てた石鹸をつけて、タオルを当ててふき取るというのを何度か繰り返すときれいになります。もし犬が嫌がるそぶりをみせたら、すぐに中止してください。無理にやるとタオルも人間も嫌いになってしまいます。

 

 

基本的に健康でストレスが少ない犬は、洗ったり拭いたりなどはしなくても、清潔で臭いにおいなどありません。強いて言えば、天気のいい日にはお日様のにおいが、雨の日には雨のにおいがするぐらいでしょうか。

 

 

わたしは犬猫の保護活動もしているので、ときどき保護犬猫を迎えますが、どの子もシャンプーしません。うちの犬猫たちは、ひどい皮膚病だった1頭を除いて、一度もシャンプーしたことがありません。でも散歩に連れて行くと、「洗うのが大変ですね」とか、「どこのシャンプーを使っているのですか」などとよく聞かれます。白い犬は、雨の後の泥んこ遊びが大好きで、茶色い犬になりますが、泥が乾けばみんな落ちて、真っ白な犬に戻ります。犬の被毛は高機能なのです。

 

 

皮膚疾患がある場合

以前うちで保護した犬は、皮膚疾患がひどかったため、治療方針を獣医師と相談して、定期的に洗う必要がありました。皮膚トラブルがある犬の場合は、漫然とシャンプーするのではなく、獣医師とよく相談することが大切です。

 

 

その犬は、脂漏症、マラセチア、アカラス症にかかっており、痒くて引っかいた箇所が化膿して大変な状態になっていました。そこで、皮膚に分厚く堆積した老廃物をオイルパックで溶かしてからノルバサン(薬用シャンプー)で洗いました。これを数回おこなった後は、シャンプー頻度を減らしていき、数ヵ月後には週に1回程度お風呂に浸かってもらうだけにしました。

 

 

半年ほどで症状は消え、脂漏症も数年後には完治しました。それ以来、お風呂には入れていません。皮膚疾患がある場合は、シャンプーの仕方、頻度、シャンプー剤の選び方なども含めて、獣医師との相談の上、慎重におこなってください。方針に納得がいかない場合は、セカンドオピニオン、サードオピニオンを聞いてみることも重要です。

 

 

皮膚疾患の際の洗い方

次に、皮膚疾患でシャンプーする場合のコツについて説明します。シャンプーは、犬の体調がよくて、天気のいい日中にするようにします。天気が悪い日は乾きもよくないですし、低気圧の影響で精神的に不安定になっていることもあるからです。

 

 

お風呂から上がったときにすぐに拭けるように、タオル類は浴室の入り口に置き、よく室内にはすべらないようにマットなどを敷いておきます。準備ができたら、犬に「お風呂に入ろうか」と声をかけます。黙って連れて行くのではなく、最初にお伺いを立てましょう。

 

 

もしそこで嫌がったら、また別の日に延期します。無理にやると、お風呂嫌いが悪化しますので、いったん引き上げることが肝心です。嫌がらない状態でスタートするようにしましょう。

 

 

いきなりシャワーを勢いよくかけると犬が驚いてしまいます。出だしは洗面器かバケツなどにお湯を入れて、手やひしゃくなどでそっと体にかけます。様子を見ながら少しずつかけるとあまり嫌がりません。顔はとくに慎重にして、手でそっと濡らすぐらいの方がいいです。嫌がるようなら省略します。

 

 

犬がお湯に慣れてきたらシャワーに切り替えてもいいですが、ずっとひしゃくでもかまいません。お湯の温度は35度から37度と言われていますが、犬によっても違います。子犬や小型犬は体が冷えないように、とくに注意しましょう。

 

 

シャンプーは泡立ててから手でそっともみ込んでいきます。原液をじかにつけたり、つけ過ぎたりするのは皮膚にダメージを与えます。くまなくきれいに洗うよりも、犬にストレスをかけないことを最優先してください。皮膚疾患も、ストレスで悪化します。

 

 

時間は小型犬なら1分以内、大型犬でも5分以内で流し始めるようにしましょう。流すときもなるべくそっとします。体を押さえつけたりせずに、穏やかにやさしく声をかけながら、ゆっくりした動作で丁寧に洗い流してください。

 

 

動くからといって叱ったり、イライラして乱暴に扱ったりすると、シャンプーが大嫌いになってしまいます。治療の一環で、やらなければならないことですから、自分自身もリラックスして、ゆったりとした楽しい気分でおこないましょう。

 

 

流し終わると犬は体をブルブルして自分で水分を飛ばします。そうしたらすぐにバスタオルで包みます。押さえるようにして水気を吸収させるといいです。ゴシゴシこすると不快感を与えますから、乾いた部分で押さえるだけでいいです。

 

 

乾いたらなるべく体から離してドライヤーをかけます。顔にかけると嫌がりますから、顔は手でガードします。ドライヤーは音が静かなものを選ぶようにしましょう。一箇所に当てすぎるとやけどをしますから、ゆっくり動かしながら、犬が嫌がっていないかどうかに常に気を配りましょう。

 

 

シャンプーは、健康な犬には必要ありません。皮膚疾患がある場合にのみ、獣医師との相談の上、犬に不快な思いをさせないように気をつけながら、必要最小限の範囲で行いましょう。

 

 

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