しつけの基本は、しっかり叱ってしっかり褒めること。
これはよく聞くフレーズです。でも、本当にそうでしょうか。
あなたならどんなときに叱りますか?
犬が吠えたとき?
噛み付いたとき?
リードを引っ張ったとき?
留守中に粗相したとき?
犬の吠えは人間の言葉と同じです。翻訳するとこんなふうになります。
「怖いからこっちに来るな!」
「うれしい!」
「なんかイライラする」
「興奮してきたぞ」
それに対して、「うるさい、やめなさい!」と叱って、なにか解決するでしょうか。
噛み付きはそのほとんどが自分を守るためのものです。あとはイライラしてやり場のない気持ちをぶつけるとか、とっさにそばにいた人を噛むという類です。
それを「いけないっ」などと叱って、なにか効果が得られるでしょうか。
犬がリードを引っ張るのは、興奮しすぎているせいです。興奮しないようにリードにしっかりテンションをかけてブレーキをかけ、すぐに緩めるとうのを繰り返すと、犬はだんだん落ち着いてきます。
留守中の粗相は分離ストレス行動です。ひとりで留守番することが不安で仕方がなく、強いストレスがかかって粗相してしまうのです。
それを叱ると、犬はさらに不安になって、事態が悪化します。
では、褒めるのはどうでしょう?
いい子にしているときに褒めると、犬は喜ぶからいいのではないか。
そう思いますか?
その「いい子」というのは、人間が考えるいい子ではないでしょうか。
吠えない、噛み付かない、言うことを聞く、おとなしく歩く。
犬は褒められたくて、本当にやりたいことを我慢するようになります。自分を殺して、人間に合わせようとするのです。
犬の気持ちはどこかへ行ってしまいます。
犬を叱ったり褒めたりするのは、自分の思うままにコントロールしようとする行為ではないでしょうか。そこには上下関係、支配関係があるように思えてなりません。
わたしたちは人間の友や仲間を叱ったり褒めたりするでしょうか?
「こうした方がいいと思うよ」という意見を言ったり、「すばらしいね」などと賞賛することはあるでしょう。
また、「それは大変だったね」、「つらいね」などと共感することもあります。
犬が友であり仲間であるなら、そのように接すればいいのではないでしょうか。犬はその気持ちにちゃんと応えてくれます。
犬をしつけるのではなく、犬と仲間になることが大事です。
犬は社会性が高度に発達しており、仲間のことをリスペクトします。
わたしたちも犬を見習いたいものです。
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