やめさせたい!?犬がマウンティングする本当の理由と対処法

犬のマウンティング

 

犬が他の犬や人、クッションやボールなどに前足をかけて腰をふる「マウンティング」と呼ばれる行動。それに対して「恥ずかしいからやめさせたいんだけど・・」と悩む声をよく聞きます。

 

 

このマウンティング行動には多くの誤解があるため、犬に対して嫌悪感を抱いてしまったり、適切ではない対処法をとってしまったりすることがあるようです。ここでは、マウンティングについての正しい知識を得て、どうしていけば良いかをまとめてみます。

 

 

犬のマウンティングによくある誤解

犬が優位性を示すための行為

犬は、他の犬や人間との間に上下関係をつくるといわれることがあります。そして、マウンティングは犬が優位に立っているということだから、しっかりしつけをして人間がリーダーだと教えてやめさせなければいけないなどという説がいまだに見受けられます。

 

 

米コロラド大学生態・進化生物学部教授のマーク・ベコフによると、人間とのかかわりなしで暮らす犬は、一緒に狩りをしたり子育てをしたりする群れをつくることがあり、その中では社会的優位性がみられるといいます。

 

 

特にオスは、発情期のメスがいたり食べ物を前にしたりすると、敵対的優位関係が顕著になります。(ただし、多くが暴力的ではない方法で優位性を示している)

 

 

しかし、犬が人間との間に序列を作るということは立証されていません。
人間とのかかわりなしで暮らす犬同士の関係性と、人間と犬との関係を混同しないように気を付ける必要がありそうです。

参考記事人は犬のリーダーでなければいけないの?

 

 

また、マウンティング自体、他の個体との優位性に関係ないことがわかっています。

 

 

それに、もし地位をめぐる争いだったとしたら、クッションなどの物にやる意味はないでしょう。

 

 

性行動

これもよくある誤解の一つでしょう。もちろん性行動としてみられることもありますが、多くの場合は性行動ではありません。

 

 

なぜなら、性成熟以前の子犬や不妊去勢手術後の犬であっても行いますし、優位性の誤解と同様、対象がクッションなどのモノであることも多いからです。

 

 

犬がマウンティングする原因

犬のマウンティングの原因

ではなぜ犬はマウンティングをするのでしょうか。

 

 

ストレス行動

気になるほどのマウンティングは、何度も何度も繰り返し、しつこく行われるものです。このような行動は、興奮や不安などによるストレスが原因であることがほとんどです。

 

 

例えば、ドッグランなどで走り回らせる、激しい遊びをさせる、ドッグトレーニングをするなど、犬が興奮するようなことをしていませんか?また、長時間の留守番や同居家族の不仲など、犬を不安にさせることにも注意が必要です。これらは犬にとってストレス要因になります。

 

 

私たちがこれまで保護してきた犬や、相談を受けた犬たちを観察していると、高ストレス状態である場合にマウンティングをし、落ち着くにつれてやらなくなっていっています。

 

 

マウンティングの大きな要因は、ストレスだといえるでしょう。

 

 

転位行動

転位行動とは、恐怖や不安、緊張などに出くわし、それにどう対応するか、犬自身が強い葛藤状態におかれたときに、気持ちを落ち着かせたり気を紛らわせたりしようとして、まったく別の行動を起こすことです。

 

 

転位行動としてマウンティングをすることがありますが、葛藤状態になるほどの強いストレスにさらさないということが大切です。

 

 

マウンティングへの対処

犬のマウンティング対策

マウンティングの対象物を片付けよう

まずは、マウンティングの対象になっているクッションなどを、片付けておきましょう。犬が見ていない時に、そっと片付けるということがポイントです。

 

 

犬用ベッドにするので片付けるのはどうか・・という場合は、ベッドの種類を変えてみてはいかがですか?マウンティングしやすいベッドの縁がないものやマウンティングしにくそうな素材にすることで、防ぐことも可能です。

 

 

では、対象が物ではなく、同居人の腕や足ならどうでしょうか。そんな時は決して叱ったり嫌そうに手で払ったりせずに、優しくそっと犬の前足を床におろしてあげましょう。そして犬の気をそらすために、犬が落ち着くまで別の部屋に移動してみましょう。

 

 

こうして対象物を片付けたり、犬の気をそらしたりということを続けていくことで、半年、1年たったあとで再び対象物を出してみても、マウンティングしなくなっていたということがよくあります。

 

 

ストレス要因を減らす

しかし、物理的にマウンティングができないようにする対症療法だけでは、根本的な解決にはなりません。マウンティングの原因になっているストレス要因を見極め、それを減らせるように努めることが最も大切です。

 

 

高ストレス状態の犬に対し、叱ったりトレーニングしたりすると、余計にストレスがかかってしまうので、マウンティングにおいても何事においても逆効果でしかありません。

 

 

マウンティングは、特に興奮したときに出やすいので、興奮させないようにすることが大事です。犬によって、何に興奮するかは異なります。同居人が犬の近くをバタバタと動いていたり、他犬と近距離で会ったりしたときや、留守していた同居人が帰宅するなど、嬉しい興奮もあります。

 

 

犬が落ち着くまで別の部屋に行ったり、抱っこや添い寝をしてあげたりすると安心してくれることがあります。犬がどうしたら楽になるか、よく観察して接しましょう。

 

 

まとめ

マウンティングは、見た目がよくないし迷惑だからやめさせたいという発想になりがちかもしれません。しかし、それは犬がストレスに苦しんでいるということなので、なんとかしてあげようと考えるといいでしょう。

 

 

人間でいうと、貧乏ゆすりや爪噛みと同じです。やめなさいと叱っても、そのストレスでさらに悪化するし、物理的にできないようにしたところで、ストレスの原因がなくならなければ、別の行動が出るだけなのです。

 

 

わたしたちは犬の仲間として、犬に寄り添い、犬が心地良い暮らしを工夫し、一緒に問題を解決していきましょう。

 

 

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