生き物が心身ともに健やかに暮らすためには、その生き物の習性に合った暮らしをすることがとても大切です。
人間と犬は、同じ哺乳類ではありますが、まったく違う種族の生き物です。
犬と暮らすということは、つまり習性の違う生き物と一緒に暮らすということでもあります。
もし、人間の都合ばかりを優先してしまえば、犬は心地よく暮らすことができません。
我慢の多い生活になり、ストレスが積み重なれば、心も体もバランスを崩してしまいます。
犬の吠えや噛みつき、落ち着きのなさなど、いわゆる問題行動といわれているものも、こうしたストレスが背景にあることが少なくありません。
だからこそ、犬と暮らすときには、犬の習性を知り尊重することがとても大切なのです。

犬の行動に「良い」「悪い」はあるのでしょうか?
私たちはつい、犬の行動をいい子、ダメな犬、という言葉で表現してしまいがちです。
例えば、
- 吠えない犬は「いい犬」
- 噛む犬は「悪い犬」
というように、人間にとって都合のよい行動を「良い行動」、困る行動を「悪い行動」と判断してしまいます。
しかし、犬の立場から見たとき、本当に「悪い行動」なのでしょうか。
犬はただ、そのときの状況の中で不安、恐怖、興奮、戸惑い、などの気持ちを表現しているだけです。
つまり、犬の行動はその犬なりの理由や感情の表れなのです。
それを人間の価値基準で「良い」「悪い」と判断し、叱ったりコントロールしたりしようとすると、犬はますます混乱し、不安を感じてしまいます。
犬の習性に合わない暮らしはストレスになる
私たちが何気なく行っていることでも、犬にとっては負担になることがあります。
例えば
- 大きな声で話す
- 忙しくバタバタ動く
- 頻繁に触る
- ずっと見つめる
- ケージやサークルに閉じ込める
- 叱ったり命令したりする
こうしたことが続くと、犬は安心して過ごすことができません。
犬は人間よりもはるかに感覚が鋭く、周囲の雰囲気や人の感情にも敏感な生き物です。
人間にとっては普通の生活でも、犬にとっては刺激が多すぎる場合があります。
その結果、
- 落ち着かない
- 吠える
- 噛む
- イライラする
といった行動につながります。
こうした行動は一般的に「問題行動」と呼ばれていますが、その多くは犬が困っているサインなのです。
犬の習性を知ることが、暮らしを変える第一歩
もしあなたが、違う種族の生き物から、「一緒に暮らそう」と言われたらどうでしょうか。
ちょっと想像してみてください。
生活習慣や食べ物、過ごし方など、自分の習性を理解し、尊重してくれたら安心して暮らせるのではないでしょうか。
犬も同じです。
犬と暮らすことを選んだのは、わたしたち人間です。
だからこそ、犬の習性を知り、それを暮らしの中に取り入れていくことが大切です。
犬の行動を無理に変えようとするのではなく、「この犬は今、どう感じているのだろう」と考えること。
そして、犬が安心して過ごせる環境を整えること。
そうすることで、犬も人も、ずっと穏やかに暮らしていくことができるようになります。

