京都に住む夫婦の家で暮らすラブラドールレトリーバーが、妻側から虐待をうけ、保護団体によって保護されたという辛いニュースが入ってきました。
どうやらこの女性は、近隣の住民に迷惑行為を行うことで前から問題になっており、警察を呼んだことなどもあったそうですがなかなか解決せず、何か証拠映像が撮れればと思って近所の人がカメラをまわしていたそうなんです。女性が散歩中に、犬のお腹のあたりを蹴り飛ばす姿が撮れたのを、SNSにアップしたことで一気に拡散されたそうです。
動画をアップした方は、どこに通報すれば良いか分からなかったため、SNSにアップしたそうですが、結果、保護団体と警察が動き、夫の了承を得て犬は保護されることになりました。
その蹴り方はあまりにひどく、犬は大変怯えた様子でした。保護直後に病院で診てもらった結果、複数の負傷があったそうで、日常的に暴力を振るわれていたことが想像できます。
後日、虐待をしていた女性が、テレビ番組の取材にこたえていました。その主張はとてもひどいものでしたが、大なり小なり、このような考えをもってしまったことがある方もいるのではないだろうか・・と思わされました。私もかつて、巷にあふれる情報に惑わされ、犬にひどいことをしてしまっていたからです。
女性の主張と、それに対する私たちの意見をまとめてみました。
子どもの虐待の問題でも同様ですが、「しつけ」であれば暴力が正当化されてしまうような風習が、日本には少しあるかもしれません。
道路で子どもを噛むかもしれないという理由で、それをやめさせるために蹴る必要はあるでしょうか。動画をみると、周囲に子どもが歩く姿はありませんでした。そもそも犬を蹴ることで犬は「噛んではいけない」ということは理解できないと思います。
また、犬がもし他人を噛むようなことがあるなら、それはしつけがなっていないからではなく、犬が噛まざるを得ない状況を人間がつくってしまっていたり、犬のストレスや興奮度が非常に高い状態であったりするためなので、犬が噛まなくても済むように、私たち人間側が配慮する必要があるはずです。
私たちは、犬にしつけはいらないと思っています。これについては、別記事の犬にはしつけも訓練も暴力もいらないをご覧いただければと思います。
犬は、人間より上の立場になりたいなんて思っていないのです。胸に手をあて考えてみると、上になりたがっていたり、言うことを聞かせたりしようとしていたのは、自分の方だったと分かるはずです。
でも、残念ながら、人間と犬との間でどっちが上とか下とかそういった話はよく聞きますね・・。犬が上になっていると感じる理由は何でしょうか。
恐らくこのような、一般的に犬の「問題行動」といわれるものが、犬が人間より偉いと思っているから起こるという主張を見聞きするからではないでしょうか。
しかし、これらも<主張1>で述べたことと同様で犬に問題があるのではありません。犬が「辛い」「怖い」「苦しい」「不安」という感情を、一緒に暮らす人間が理解し、それを改善したり緩和したりしようとせず、蔑ろにしてきたために起こっていることがほとんどなのです。
私たちは、犬と上下関係を構築するために犬と暮らそうと思ったわけではないはずです。犬を家族として、一緒に穏やかにニコニコと暮らせるよう愛情をもって接すると、犬との暮らしが益々幸せで心地良いものになります。
上下関係は会社だけで十分!家族間で上下を考えるのはやめてみませんか。
すごく我慢していたのではないでしょうか・・・。
犬がおしっこをしたがっていたら、すぐに外につれだしてあげましょう。人間の都合で間に合わなかったのですから、犬を怒るのではなく、謝るべきではないでしょうか。
それに蹴り飛ばしていたのは散歩中です。いつかの粗相を注意するために散歩中に蹴っただなんて、単なる口実にしただけだろうと思われますが、ただの八つ当たり・暴力行為です。
尚、粗相をした犬に暴力はもちろん、注意することもやめましょう。犬は排泄を我慢してしまい、その結果膀胱炎になってしまうなど、悪い影響しかありません。私たちも排泄を我慢するのは地獄ですから、犬が我慢することの辛さも想像がつきやすいと思います。「犬の排泄は待たせない!」これが鉄則ですね。
また、今回体罰をされた犬も膀胱炎だったようですが、既に膀胱炎などの病気になっていたり、ストレスがあったりするためや、高齢のために頻尿になっていることもあります。犬の粗相がある場合は、そのようなことも気にしてあげましょう。
普段可愛がっていれば、何をしてもいいということではないはずです。
自分だったらどうでしょうか。普段仲良くしている家族でも、一度でも殴られたり蹴られたりしたら、相手に対して不信感や恐怖心を抱くのではないでしょうか。たった一度でも許されることではありません。
自分がされて嫌なことは、相手にもしてはいけないですね。
今回は、SNSアップがきっかけで保護に至ったということですが、この方は、通報先が分からずSNSにアップしたと言っているようです。もともと迷惑行為をする人ということで問題になり警察も把握していたため、保護団体と一緒に動いてくれたのかもしれません。
海外では、動物虐待やネグレクトを通報・同居人への注意・指導、被害にあっている動物を保護などをするアニマルポリスが存在する国もありますが、日本には存在しません。
唯一、兵庫県が、アニマルポリス・ホットライン(動物虐待事案等専用相談電話)というものを設置しています。
では、私たちは虐待を目撃したらどうしたらいいでしょうか。
下記のいずれかにに連絡をし、どんな対応をとって頂けるのかを確認しましょう。
まずは保健所に連絡をし、対応によっては警察署にも連絡してみるとより効果的かもしれません。
今回ニュースになった女性は、「蹴ったのはお腹ではなく肩だ」「蹴ったのは今回だけだ」などと発言をしていますが、どこを蹴ろうと殴ろうと、今回だけであろうと、どんな理由があろうとも、暴力は決して行われるべきではありません。
映像を観てしまった方は、あまりに強い蹴り方にショックを受けたのではないでしょうか。しかし残念なことに、犬は暴力の対象にされがちです。犬のしつけと称して、リードを強くひいたり、犬を抑えつけたり、頭を叩いたり・・・そのような光景はわりと頻繁にみられます。
なぜ、そのような暴力が起こるのか・・・
「犬は人間の言うことに従って当然」という意識が変わらないと、同じようなことが繰り返されてしまうかもしれません。
最後に、虐待されて保護された16歳の犬が、保護先で余生を穏やかに幸せに暮らせることを祈ります。
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