「犬は自分で考えられない」
「だから人が教えてあげなければいけない」
そう思っている方は多いかもしれません。
だから、
- オスワリやマテを教える
- 危ないことをしないよう管理する
- 散歩コースを決める
- 何をしていいか、全部人が決める
そんなふうに、犬の行動を人がコントロールしなければいけないと思われがちです。
でも、本当にそうでしょうか。
犬と暮らしていると、「あ、この子、自分でちゃんと考えてるな」と感じる場面はたくさんあります。
私たちが思っている以上に、犬はちゃんと、自分で考えて判断しているのです。
犬は「今日は散歩に行くかどうか」も考えている
散歩が大好きな犬でも、
- 雨の日
- とても暑い日
- 寒すぎる日
- 風が強い日
そんな日は、散歩に行きたがらないことがあります。
散歩の時間になっても、寝床から出てこない。朝ごはんを食べたら、また寝てしまう。
「今日は行かないの?」と思うこと、ありませんか?
でもそれは、怠けているとか、わがままとか、そんなことではありません。
犬は、「今日は外は気持ちよくなさそう」「家にいたいな」と、自分で判断しているのです。
反対に、留守番が多かったり、気分転換が必要だったりすると、雨でも散歩に行きたがる犬もいます。
そして、外に出てみて、「思ったより雨が強いな」「やっぱり帰ろう」と引き返す犬もいます。
犬はただ「散歩に行く・行かない」を反射的に決めているのではなく、その日の天気や気分、体調や気持ちをもとに、自分で考えて選んでいるのです。
散歩コースも、犬は自分で選びたがっている
散歩に出たとき、犬が立ち止まったり、別の方向に行こうとしたりすることがあります。
そんなとき、人が「こっち!」とリードを引いてしまうことは少なくありません。
でも犬は、理由があって立ち止まっているのです。
- 工事の音がしていて怖い
- 苦手な犬のにおいがする
- 今日は静かな道を歩きたい
- あっちの草むらのにおいが気になる
そんなふうに、その場の状況を見て、自分なりに考えています。
そして犬は、嫌だった場所や、安心できた場所を、ちゃんと覚えています。
以前大きな音がして怖かった場所を避けたり、落ち着ける公園に向かったり、「あそこには行きたくない」と引き返したり・・。
逆に、楽しかった場所や、おいしいものを見つけた場所を覚えていて、また行こうとします。
つまり犬は、散歩のたびに、「どこなら安心かな」「今日はどこに行こうかな」と考えながら歩いているのです。
安全だけ確保したら、そのあとの行き先は、犬に任せましょう。
犬は「これはしない方がいい」「これは大丈夫」もちゃんと理解する
犬は、気になるものを口にしたり、齧ったりして確かめることがあります。
それは、人が手で触って確かめるのと似ています。
でも、犬は何でもかんでも噛むわけではありません。
人が大事にしているものや、噛まれたくないものは、本来、犬も少しずつ理解していきます。
もし噛んでほしくないものを口にしてしまっても、
「それは大事なものなんだ」
「こっちにしようか」
と、静かに別のものを差し出したり、そっと伝えたりすると、犬は「これはやめた方がいいんだな」と理解していきます。
このような経験を積んでいくことで、命令したり叱ったりしなくても、「何なら大丈夫なのか」を、自分で考えて学んでいくことができるのです。
犬が考えられなくなるときもある
しかし、いつでも落ち着いて考えられるわけではありません。
強いストレスがあったり、興奮しすぎていたり、不安でいっぱいだったりすると、犬も冷静に考えられなくなります。
- 散歩でパニックになる
- 何でも口にしてしまう
- 周りが見えなくなる
- 興奮して止まれなくなる
そんなときに、「ちゃんと考えて!」と求めても難しいのです。
人間だって、不安でいっぱいだったり頭に血がのぼっていたりするときは、うまく判断できません。
犬も同じです。
尚、犬を興奮させてしまうと、更に興奮を求めるようになり、ますます思考力を奪うことになりますので、興奮を煽るような行動を避けることが大切です。
犬が、窮地に陥るような状態を作らないようにしましょう。
必要なのは、「教え込むこと」より「考えられる状態をつくること」
犬に対してつい、「こうしなさい」「ダメ」「ちゃんとして」と言いたくなるかもしれません。
でも、犬が本来持っている力を発揮するために必要なのは、あれこれと指示を出すことではありません。
- 安心できること
- 落ち着いていられること
- 自分で選んでも大丈夫だと思えること
そういう環境があると、犬は驚くほど、自分で考えて動けるようになります。
- 散歩の行き先を犬に選んでもらう
- 無理に進ませようとせず、犬のペースに任せる
- 嫌がっていることを無理強いしない
- 犬が困っていそうなときだけ、そっと手助けする
そんなふうに、
「人が全部決める」のではなく、「犬に任せる」暮らしにしていくと、犬は少しずつ、自信を取り戻していきます。
犬は思っている以上に自分で考えている
犬には、何でも教えなければいけない。
そう思ってしまうのは、人間が犬を信じる機会を持てていないからかもしれません。
でも、本当は犬は、
- 「今日はどうしたいか」
- 「何が嫌か」
- 「どうしたら安心できるか」
そんなことを、毎日ちゃんと考えています。
私たちにできるのは、その力を奪わないこと。
指示や管理で犬を動かすのではなく、「この子なら考えられる」と信じて、そっと見守ることです。
すると犬は、少しずつ、自分で選び、自分で考え、自分で行動できるようになっていきます。
そして、その姿はきっと、私たちが思っている以上に、たくましく、頼もしいものです。

