犬と暮らしていると、噛みつきや吠えなどの行動に悩んだり、イライラしたり、怒ったりすることがあるかもしれません。
これらは一般的に、「問題行動」と呼ばれています。
ですが本当に、犬に問題があるのでしょうか。
多くの場合、それらは犬からのサインで、ある共通した原因から生まれています。
この記事では、犬の問題行動が起こる理由と、人が本当に考えるべきことについてお話しします。
犬の「問題行動」とは
犬の問題行動と呼ばれるものには、例えば次のようなものがあります。
- 吠える
- 噛む
- 落ち着かない
- 物を壊す
- 散歩で引っ張る
犬がこれらの行動をするのは、必ず理由があります。
ですが多くの場合、人間が困る行動という理由で、「問題行動」とひとくくりに呼ばれてしまいます。
まずはその行動の背景を考えてみるいことが大切です。
犬は「困らせよう」としているわけではない
犬の行動をみていると、「わざとやっているのでは?」「反抗しているのでは?」と思ってしまうかもしれません。
ですが犬は、
- 意地悪をする
- 復讐をする
- 人間の上に立とうとする
このようなことを行ったり考えたりする動物ではありません。
犬はただ、そのときの状況や自分の感情に反応しているだけなのです。
怖いときは身を守ろうとし、不安なときは落ち着かなくなり、ストレスがたまれば発散しようとします。
それはごく自然なことです。
犬の問題行動が起こる仕組み
犬の行動は、突然起こるものではありません。
多くの場合、ストレスや強い感情がある状態で、刺激に反応することで起こります。
例えば、
- 不安
- 恐怖
- 緊張
- 興奮
こうした感情があるときに、犬は刺激に対して強く反応しやすくなります。
その結果として、
- 吠える
- 突進する
- 噛みつく
- 破壊する
といった行動にあらわれるのです。
つまり、いわゆる問題行動は突然起こるものではなく、いくつかの要素が重なって起こるものなのです。
ストレス
犬も人間と同じように、日常の中でさまざまなストレスを感じています。
例えば、
- 知らない人や犬に会う
- 大きな音を聞く
- 慣れていない環境に行く
- 行動を制限される
といった出来事は、犬にとってストレスになることがあります。
強い刺激に出くわしたことによって一時的なストレス(急性ストレス)が起こることもありますし、小さなストレスが積み重なって慢性的なストレスになることもあります。
犬の行動を理解するときは、このどちらも大切な要素になります。
人はつい、「それくらい我慢できるはず」と思ってしまいがちです。
ですが、犬にとっては、私たちが思っている以上に、小さな出来事が大きなストレスになっているかもしれません。
わたしたちは、そうした小さなストレスも大切に考えています。
犬が安心して暮らすためには、ストレスの原因を一つ一つ減らしていくことが、とても大切だからです。
刺激への過剰反応(リアクティビティ)
ストレスや強い不安や恐怖があると、犬は刺激に対して過剰に反応するようになります。
この状態はリアクティビティ(反応性)と呼ばれています。
例えば、
- 他の犬を見て激しく吠える
- 人に突進する
- リードを噛む
- 強く興奮する
といった行動です。
こうした刺激への過剰反応は、慢性ストレスの状態でも、急なストレスを感じたときにも現れる行動です。
その直接的な原因には、恐怖や不安とならんで興奮が関係していることがほとんどとされています。
つまり犬は、攻撃しようとしているのではなく、刺激に対して強く反応してしまっているだけなのです。
トリガーとなる刺激
そして、その過剰反応を引き起こすきっかけになるものが、トリガー(引き金となる刺激)です。
例えば、
- 他の犬
- 背の高い男性
- 突然の大きな音
- 正面から接近してくるもの
などがあります。
どんなに落ち着いた犬でも、強い刺激を受ければ反応することがあります。
ですが、高ストレス状態では、本来なら問題にならない程度の刺激でも強い反応が出てしまうことがあります。
その結果、吠えたり、突進したり、噛もうとしたりする行動につながるのです。
行動を「直そう」とするほど悪化する
私たちはつい、目の前で起きている「困っている行動」にばかり目を向けてしまいます。
「しつけをしないと」と思って
- 叱る
- 無視する
- 罰を与える
- 命令する
- コマンドを使って指示する
- 行動をコントロールする
といった方法を試します。
一見、改善したと思うことがあるかもしれませんが、それは一時しのぎにしかなりません。
不安、緊張、イライラといった慢性的なストレスがある限り、別のストレス行動になってあらわれたり、逆効果になったりします。
犬にとって指示やコントロールはストレスになり、犬はますます緊張し不安が大きくなるからです。
ストレスが強くかかっていると、
- 判断力が低下する
- 学習効率が下がる
- 感情コントロールが難しくなる
このような状態になります。
つまり、犬がストレスが少ない状態で落ち着いていなければ、そもそも何かを学ぶこと自体難しいのです。
大切なのは「犬を変える」ことではない
犬の問題行動を考えるとき、本当に大切なのは、犬の行動自体を止めようとすること、犬を変えることではありません。
大切なのは、
- 犬の気持ちを理解して寄り添うこと
- 犬に配慮した生活をすること
- 安心できる時間を増やすこと
です。
不安の要因を減らし、リラックスできる環境を整えていくと、犬の問題行動(=ストレス行動)は自然と軽減されていきます。
どうしたら安心して暮らしてもらえるかを追求すること・・それがもっとも大事で、それがすべてなのではないでしょうか。


