犬が留守番できないのはしつけ不足?必要なのは不安な気持ちのケア

犬が留守番できないのはしつけ不足?必要なのは不安な気持ちのケア

犬を迎えるとき、

「ケージに入れておけば留守番できますよ」
「そのうち慣れますよ」
「吠えたりしても、しつければ大丈夫です」

そんなふうに言われることがあります。

でも実際には、留守番中に困った行動が出てしまい、「どうしてうちの子だけ…」と悩む方は少なくありません。

そして、「留守番ができないのは、しつけ不足だからだ」と思い込んでしまうこともあります。

けれど、犬が留守番できないのは、しつけが足りないからではありません。

目次

留守番中の問題行動は「分離ストレス行動」

犬は、とても社会的な動物です。

大好きな相手と離れることが苦手な犬も多く、留守番によって強い不安を感じることがあります。

その不安によって起こる行動を、「分離ストレス行動」あるいは「分離不安」と呼びます。

たとえば、

  • 帰宅すると部屋中におしっこをしている
  • 家具や壁をかじっている
  • 吠え続けている
  • ドアや窓の前で暴れている
  • 留守番の気配だけで落ち着かなくなる

こうした行動は、決して「わざと困らせよう」としているわけではありません。

犬からすれば、不安でたまらなくて、どうにもできずにやってしまっているのです。

だから、帰宅後に叱ったり、「悪いことをした」と教えようとしたりしても、意味はありません。

犬は、「留守番中の行動を怒られている」とは理解できません。

むしろ、「やっと帰ってきたのに、また怖いことが起きた」と感じ、不安がさらに強くなってしまいます。

「ちゃんと留守番できる子」にしようとしなくていい

留守番が苦手な犬に対して、

  • 「我慢を覚えさせなきゃ」
  • 「もっとしっかりしつけないと」
  • 「甘やかしすぎたのかも」

と思ってしまうかもしれません。

でも、犬は「いい子じゃない」から留守番できないのではありません。

もし、自分が知らない場所でたったひとり、いつ帰ってくるかも分からないまま置いていかれたらどうでしょうか。

最初は我慢しようとしても、時間が経つにつれて、不安や怖さでいっぱいになってしまうかもしれません。

犬も同じです。

留守番中に見られる行動は、「困らせたい」ではなく、「助けて」「不安だよ」というサインなのです。

子犬や保護犬は、特に留守番がつらいことがある

特に、子犬や保護犬は、留守番の不安が強く出やすい傾向があります。

子犬は、本来ならまだ親や兄弟と一緒に過ごしている時期です。

そんな時期に、急に知らない家で、ひとりぼっちになるのは、子犬にとってとても大きな不安です。

また、保護犬の場合は、それまでに環境の変化やつらい経験をしてきた犬も少なくありません。

家族が変わる、住む場所が変わる、大切な存在と離れる。

そんな経験を重ねてきた犬は、「また置いていかれるかもしれない」という不安を強く抱えていることがあります。

まずは、その子の不安や背景を理解し、「ひとりで平気になってもらう」のではなく、「安心できる時間を増やす」ことを大切にしましょう。

長時間の留守番は、犬にとって大きな負担

犬によって差はありますが、長い留守番は、それだけで大きなストレスになります。

特に、毎日何時間もひとりで過ごさなければならない生活では、不安やストレスが積み重なり、分離ストレス行動が強くなっていくことがあります。

留守番中は、誰とも関われず、安心できる相手もいません。

刺激の少ない部屋で、ただ待ち続けるだけ・・。

人間が思っている以上に、犬にとってはつらく、孤独な時間です。

犬と暮らすなら、「犬がどれだけ長く留守番できるか」を考えるより、「犬が不安にならない時間で暮らせるか」を考えることが大切です。

必要なのは、しつけではなく「心のケア」

留守番中に吠えたり壊したりする犬に対して、

  • 無視する
  • 厳しく叱る
  • ケージに閉じ込める
  • 我慢させる
  • 留守番の練習を繰り返す

そうした方法が勧められることがあります。

でも、不安が原因で起きている行動は、やめさせることを目指しても改善しません

一時的に行動が減ったように見えても、別の形でストレスが現れたり、体調を崩したりします。

本当に必要なのは、「どうやったら犬が安心できるか」を考えることです。

しつけではなく、心のケアとリハビリです。

たとえば、

  • 留守番時間をできるだけ短くする
  • 在宅勤務や家族の協力を考える
  • 預け先やペットシッターをみつける
  • 犬が安心できる場所や過ごし方を探す
  • 普段からストレスを減らし、安心感を積み重ねる

そうやって、不安を少しずつ減らしていくことの方が、ずっと大切です。

重度の分離不安がある犬では、「留守番ゼロ」の状態からスタートしなければならないこともあります。

その場合は、「留守番に慣れさせよう」とするより、まずは犬が不安で限界になる時間を超えないようにすることが大切です。

現実的には、すぐにすべてを変えることは難しいかもしれません。

でも、「犬が我慢するしかない」と考えるのではなく、「どうしたら少しでも不安を減らせるか」と考えて最大限対応するだけでも、状況は変わってきます。

留守番が苦手なのは、甘えではない

犬が留守番できないのは、わがままでも、甘えでも、しつけ不足でもありません。

大好きな人と離れることが、不安で不安でたまらない。

その気持ちが、吠える、壊す、粗相をする、といった行動になって現れているだけです。

だから必要なのは、「ちゃんと留守番できる子」にすることではありません。

  • 「この子は今、どれくらい不安なんだろう」
  • 「どうしたら、もう少し安心して過ごせるだろう」

そんなふうに、その子の気持ちに寄り添ってあげることです。

分離ストレス行動については、以下の記事でさらに詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。

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